今週のビットコイン相場は、米金融政策と市場の需給構造が焦点となる。写真=Shutterstock

ビットコインが週足で8万ドル台を回復した。5月以来初めて8万ドル台を上回って取引を終えたが、市場ではこの水準が新たな下値支持線として定着するかを慎重に見極める声が出ている。今週は米物価指標と米連邦準備制度理事会(FRB)会合に加え、デリバティブ市場の過熱感が相場の方向感を左右しそうだ。

7日付のCointelegraphによると、暗号資産市場の注目点は、米国の8月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)、そして16日に予定されるFRB会合に集まっている。

最大の焦点は、FRBが9月会合でどのような判断を下すかだ。足元の米雇用指標が市場予想を上回ったことで、FRBが早期に金融緩和へ動く必要性は低下したとの見方が広がった。8月の米非農業部門雇用者数は16万2000人増となり、前回分も5万6000人増へ上方修正された。

労働市場の底堅さを受け、市場の金利見通しはややタカ派方向に傾いた。CME GroupのFedWatchによると、市場は9月会合で政策金利が0.25ポイント引き上げられる確率を58.4%織り込んでいる。

FRB内でも見方は分かれている。ケビン・ウォーシュは先月のジャクソンホール会議で、直近の物価指標だけで金融政策を見直すには材料が不十分だとの認識を示した。一方、クリストファー・ウォーラーは金利据え置きを支持した。ドナルド・トランプ米大統領は、高金利が米経済の重荷になるとして、FRBに利下げを求めている。

株式市場では、強い雇用統計を一律に悪材料とみる必要はないとの指摘もある。Mosaic Asset Companyは、市場の初期反応は金利見通しに集中したものの、景気の底堅さは企業業績にとって追い風になり得ると分析した。

もっとも、9月は例年米株が軟調になりやすい時期でもある。さらに、11月の中間選挙を控え、年末にかけて相場変動が大きくなる可能性も指摘されている。

日本の金融政策と円相場の動きも、ビットコイン市場の変動要因として意識されている。日本の財務省によると、外貨準備高は7月末から795億7000万ドル減少した。円買い介入の影響とみられ、規模は過去最大級という。介入後、円は一時1ドル=155円前後まで上昇し、アジア時間でも同水準を維持した。

市場では、追加介入に備えて日本が米国債を売却する可能性も取り沙汰されている。外貨準備の運用や金融政策に変化が生じ、世界の流動性に影響が及べば、リスク資産であるビットコインにも波及する可能性がある。

日本銀行の9月利上げ観測も強まっている。Polymarketでは、0.25ポイントの利上げ確率が98%とされている。日本の金利動向は円キャリートレードや世界の資金フローに影響するため、暗号資産市場でも重要な変数とみなされている。

一方、足元の上昇は現物主導というより、デリバティブ主導の色合いが濃い。CryptoQuantによると、ビットコインが3日に8万2000ドルを再び上回った局面で、未決済建玉は252億ドルから275億3000万ドルへ増加した。増加額は23億ドルで、伸び率は約9.24%に達する。価格上昇と未決済建玉の増加が同時に進んだことで、新規のデリバティブポジションが急速に積み上がったとみられている。

課題は現物需要の広がりだ。CryptoQuantは、直近の上昇局面で現物市場やオンチェーンでの参加も一部確認されたものの、相場上昇の主因はデリバティブだったと指摘した。先物需要が価格を押し上げる一方、現物買いの追随はなお力強さを欠くという。

同社は、現物需要を伴わない上昇ラリーは持続しにくいと警告している。投資家が再び含み益圏に入ったことで、利益確定売りが増えやすくなっている点も上値の重荷になり得る。

8万ドル台への定着もなお不透明だ。Coinglassによると、ビットコインが8万560ドル近辺まで上昇した場合、上値には売り流動性が厚く集まっている。Glassnodeも、8万3000~8万6000ドルに大規模な清算が集中しており、相場が一段高となった局面では抵抗帯として機能する可能性があると分析した。

もっとも、中長期のテクニカル指標には改善の兆しも出ている。今回の週次終値を受け、ビットコインは2025年11月以来初めて週足のスーパートレンド指標で買いシグナルを点灯させた。8月には、50週指数移動平均線も2025年末以来初めて回復している。

ビットコインが8万ドルを新たな支持線として固められるかどうかは、今週発表される米CPI・PPI、FRBの金利判断、そして現物需要の回復にかかっている。テクニカル面では弱気相場脱却の兆しが見える一方、足元の上昇がデリバティブポジションに大きく依存している点はリスク要因だ。8万ドル突破そのものより、この価格帯で現物の買いがどこまで増えるかが、次の上昇局面の持続性を左右しそうだ。

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