米主要7州のデータセンターについて、冷却用水に加え、電力供給に伴う発電工程での水使用まで含めると、年間の淡水取水量がカリフォルニア州全体の都市用水を上回る規模になるとの分析結果が示された。人工知能(AI)向けデータセンターの拡大に伴い、電力や冷却だけでなく、水資源への負荷も一段と高まる可能性がある。
米TechRadarなどによると、非営利シンクタンクのCeresは8日(現地時間)、バージニア、テキサス、カリフォルニア、イリノイ、ジョージア、オハイオ、アリゾナの7州を対象に、データセンターと発電に伴う水使用を分析した報告書を公表した。
報告書では、これら7州のデータセンター関連の淡水取水量が年間約3兆4000億ガロン、約1040万エーカー・フィートに上ると推計した。Bloomberg Lawが引用したカリフォルニア州の年間都市用水量約800万エーカー・フィートを上回る水準だ。
この推計には、データセンター内の冷却用水だけでなく、施設に電力を供給するための発電工程で必要となる水も含まれる。AIサービスの普及を背景に大規模データセンターの建設が続くなか、電力需要の増加が水資源問題にも波及し得るとみている。
もっとも、両者を単純に比較するには注意が必要だ。Ceresの数値は「取水量」を基準としており、河川や湖、帯水層などからくみ上げる総量を指す。取水した水の一部は、発電や産業プロセスで使われた後、元の水系に戻る場合がある。
一方、カリフォルニア州の約800万エーカー・フィートは、家庭、商業、産業、造園などに実際に供給・使用される都市用水量を示す。指標の性質が異なるため、同列には扱えない。
Ceresもその点は認めている。取水量は、施設運営が依存する水の総量を示すものであり、干ばつなどですでに水ストレスに直面している地域社会が、データセンター拡張によってどの程度のリスクにさらされるかを測る指標だと説明した。
一方で、他の研究と比べるとCeresの推計値は大きい。アリゾナ州立大学の研究チームは2024年、ローレンス・バークレー国立研究所のデータを基に、米国のデータセンターに伴う間接的な水消費量を試算した。発電工程での水使用も含めたが、年間約65万エーカー・フィートにとどまり、Ceresの推計を大きく下回った。
ただ、この研究は比較的古いデータに基づいているという制約がある。近年はデータセンターとAIインフラの拡大ペースが速く、足元の水使用実態をそのまま反映しにくいとされる。焦点となるのは、どれだけ取水したかと、そのうち実際にどれだけ消費されたかの違いだ。
とりわけ、発電工程における水力発電の比重まで考慮すると、取水された水のすべてをデータセンターが直接消費したとみなすのは難しいとの指摘がある。このため、Ceresの1040万エーカー・フィートという数値は、直接的な水消費量というより、データセンター運用が依存する水資源の規模を示す指標とみるのが実態に近い。
それでも、水不足への警戒は強まっている。Ceresは、水消費量ベースでみると、2030年には発電工程で使われる水が米国のデータセンター全体の水消費の72%を占める可能性があると予測した。
データセンター内部の冷却効率が改善しても、AIサービスの拡大で電力需要が大きく増えれば、発電工程を通じた水負荷はむしろ膨らむ可能性があるということだ。
地域社会の反発も広がっている。Ceresによると、コロラド川の主要貯水池が過去最低水準に落ち込むなか、水資源や送電網への負担を理由にした反対が続き、2026年1〜3月期だけで約1300億ドル(約19兆5000億円)規模のデータセンタープロジェクトが影響を受けたという。AIデータセンター建設を巡る対立は、送電網の確保から水資源問題へと広がりつつある。
報告書の共同執筆者で、Ceresの水研究責任者を務めるシャーマ・パービン氏は、データセンターの水問題は単独の主体では解決しにくいと指摘した。データセンター運営企業、電力会社、地方政府、地域社会が、水と電力の需要を一体で捉える必要があるとしている。
AI産業の拡大で、データセンターは今後さらに多くの電力を必要とする見通しだ。データセンターの環境負荷を評価する際には、サーバー冷却に使う水だけでなく、電力生産に伴う間接的な水資源利用も含めた検証が求められそうだ。