ビットコインのイメージ写真=Shutterstock

ビットコインが8万ドル台への定着に苦戦している。背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しが改めて意識されていることがある。CoinSharesは、暗号資産への投資需要そのものは続いている一方、相場の上値を抑えている主因はFRBの政策見通しだと分析した。

Cointelegraphが7日付で報じた内容によると、CoinSharesのリサーチ責任者ジェームズ・バターフィル氏は最新の市場レポートで、「ビットコインは再び金のように取引されているが、8万ドル近辺の上限は依然としてFRBが決めている」と指摘した。価格水準そのものよりも、流動性環境や金利見通しが資金の流れを左右しているという見方だ。

こうした傾向は、ジャクソンホール会合後の市場反応に表れた。ケビン・ウォッシュFRB議長は、インフレ鈍化の進展は限定的で、物価圧力も十分なペースで和らいでいないと説明。政策当局者が物価上昇率の2%目標回帰に確信を持つには時期尚早との見方が示されると、デジタル資産の投資商品から約1億ドル(約150億円)が即座に流出した。

市場ではこの発言を受け、9月の利上げ観測が強まった。ただ、その後は資金の流れが反転した。9月4日時点では、1週間にわたって流入が続き、流入額は10億ドル(約1500億円)まで回復したという。

流れが変わるきっかけとなったのが、クリストファー・ウォラーFRB理事の発言だ。同氏は足元の物価鈍化に言及し、今後のインフレ指標で追加の改善が確認されれば、9月は金利据え置きに傾く可能性があるとの認識を示した。利上げ懸念の後退とともに、リスク資産への選好も持ち直した格好だ。

バターフィル氏は、投資家は暗号資産を見限ったのではなく、金融政策の先行きを取引しているとみる。暗号資産ファンドへの資金流入・流出は、資産クラス全体への信認低下というより、金融政策期待の変化に敏感に反応したという。

CME Groupの集計では、8日時点でフェデラルファンド金利先物市場は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の利上げ確率を約60%と織り込んでいる。市場では9月16日に0.25ポイントの利上げが実施される可能性が意識されている。

こうした値動きは、ビットコインをはじめとする主要デジタル資産が、流動性環境や金融政策の変化に大きく左右されていることを改めて示している。

同様の構図は、先月のビットコイン反発局面でも見られた。当時、米財務省は長期国債の買い戻し(バイバック)について、1回当たりの規模を20億ドル(約3000億円)から40億ドル(約6000億円)へ倍増すると発表した。

これを受け、ビットコインは同月、6万ドル台前半から8万ドルを上回る水準まで上昇した。拡大後のバイバックプログラムは9月9日から11月4日まで実施される予定だ。

市場では、今回の上昇を暗号資産固有の材料だけで説明するのは難しいとの見方も出ている。21Sharesの共同創業者オフィリア・スナイダー氏は、米財務省の発表前後で株式の売りやイールドカーブの変化が見られたほか、イラン戦争を巡る不確実性も重なり、原油相場と株価が外交期待を背景に変動したと述べた。

その上で同氏は、足元のビットコイン上昇は、暗号資産そのものの材料というより、米国向けエクスポージャーを減らす動きと関連している可能性があると付け加えた。

こうした中、市場の関心は再び流動性に向かっている。Standard Charteredはこの流れを踏まえ、ビットコインが年末までに10万ドル(約1500万”円”)に達する可能性があると予想した。

もっとも、短期的には9月のFOMCの結果と米インフレ指標が、ビットコインが8万ドル台を維持できるかどうかを左右する最大の変数となりそうだ。

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