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Ethereum共同創業者のビタリク・ブテリン氏は、AIの進展がビットコイン相場を今後2年で50%超押し下げる可能性があるとする見方に反論した。AIが脅威になり得る点は認めつつも、ビットコインの中核暗号技術やプルーフ・オブ・ワーク(PoW)が根本から崩れる可能性は低いとの認識を示した。

ブロックチェーンメディアのCryptoSlateなどが7日付で伝えた。これによると、シリコンバレーの投資家でAIリスク分析家のリロン・シャピロ氏は、AIが投資家の前提となってきたビットコインネットワークの安全性や堅牢性を揺るがしかねないと指摘。今後2年以内にビットコインが50%以上下落する確率は50%あるとの見方を示した。

これに対しブテリン氏は、クライアントやマイニングプールなど、ネットワークの周辺インフラを狙った攻撃のように、社会的合意を伴わず対処可能なセキュリティ問題であれば、ビットコインは十分に耐えられると主張した。

一方で、AIがビットコインのハッシュ関数やPoWそのものを揺るがす可能性については「極めて低い」との立場を示した。シャピロ氏と賭けをしてもよいが、実際には自身の暗号資産保有そのものが賭けと同じだとも述べた。純資産の約90%を暗号資産に振り向けており、同じ考え方はEthereumにも当てはまるとした。

両者の争点は、AIがビットコインの暗号基盤を直接破れるかどうかだけではない。シャピロ氏は、AIが従来は見つけにくかった脆弱性を大規模に発見し、投資家が当然視してきた安全性への前提を崩せば、その後に開発者が修正しても市場の信認は損なわれ得るとみている。

これに対しブテリン氏は、AIに起因するセキュリティ問題の多くは修正可能な範囲にとどまるとみる。攻撃側がAIを活用するのであれば、防御側も同じ技術進歩を使って脆弱性の発見と対処を進められるという判断だ。

暗号資産業界では、AIを使った攻撃がすでに周辺インフラに負荷をかけ始めている。ビットコインのスワップサービスを手がけるBoltzは8月、数カ月にわたって自動化されたAI支援の探索的攻撃が続き、複数回にわたり脆弱性を悪用されたとして、スワップサービスを無期限で停止した。

Boltzは、非カストディアル型のため利用者資金に直接の影響はなかったと説明した。ただ、攻撃側が小規模な開発チームの修正ペースを上回る速度で攻撃を繰り返したともしている。これは、PoWや中核暗号体系を直接攻撃しなくても、AIがビットコイン生態系の周辺インフラを圧迫し得ることを示す事例といえる。

ウォレット、ブリッジ、取引所、スマートコントラクト、ブロックチェーン運用ソフトウェアは、ビットコインの中核的な合意メカニズムに比べ、攻撃対象になり得る箇所が多い。

ブロックチェーンセキュリティ企業Cyversの最高経営責任者(CEO)、デディ・デイビッド氏は過去に、AIを基盤とした暗号資産攻撃による金銭被害が、今後、数億ドルから数十億ドル規模に達する可能性があると予測している。AIがインターネット中核インフラの脆弱性を大規模に見つけ出せるようになれば、暗号資産市場はその影響を真っ先に受ける分野の一つになり得るとの見方だ。

AI攻撃への対抗策を強化する動きも出ている。Anthropicは、ソフトウェアの脆弱性を自律的に発見し、悪用する能力を持つ「Claude Mithos Preview」について、一般公開を制限している。これを防御目的で活用する取り組みがProject Glasswingだ。

Project GlasswingにはAmazon Web Services、Google、Microsoft、JPモルガン・チェースなどが参加している。各社はClaude Mithos Previewを使い、主要ソフトウェアの脆弱性を発見し修正する作業を進めている。Anthropicは同プロジェクトに最大1億ドル相当の利用クレジットを提供する方針だ。

8月にはOpenAI、Anthropic、Microsoftなどを含む100超の企業・機関が、AIを基盤とするサイバー攻撃への共同行動を促す公開書簡に署名した。AI技術の進展により、サイバー攻撃の規模と巧妙さが急速に増す可能性があるとして、病院や上水道施設など重要インフラの防御強化を求めている。

今回の論点は、AIがビットコインの暗号体系を直接破れるかどうかにとどまらない。防御技術やセキュリティ検証体制、ネットワークインフラの整備が追いつく前に、攻撃側が優位を確立してしまうのかが、より現実的な争点になっている。

ブテリン氏は、AI由来のセキュリティ問題の多くは対処可能だとみる。一方のシャピロ氏は、その対応が間に合っても、投資家の安全性に対する信頼が先に崩れる可能性を警告している。

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