ブラジルで暗号資産規制の明確化が進み、銀行による顧客向けデジタル資産商品の拡充が加速している。一方で、銀行の取り組みは顧客取引の仲介や保管(カストディ)が中心で、自己資本で暗号資産を直接保有する段階には踏み込んでいない。
Decryptが7日(現地時間)に報じたところによると、ブラジルの2025年の暗号資産取引額は5055億レアルと過去最高を記録した。2020年の949億レアルから約433%増えた。
大手金融機関も取扱銘柄を増やしている。Itaúは投資アプリで、ビットコイン、イーサリアム、USDCを含む15種類の暗号資産を提供。最大手フィンテックのNubankは28種類を取り扱っている。
ブラジル銀行は1月、ビットコインとイーサリアムの直接購入サービスを開始した。取引額は1100万レアル超に上った。
もっとも、銀行自身による暗号資産投資はまだ見られない。3月にブラジル中央銀行に提出された資料によると、現地銀行の自己勘定による暗号資産保有額はゼロだった。顧客資産の保管や取引処理は担う一方、価格変動や流動性リスクを銀行の財務諸表で直接負担していない実態が浮かぶ。
市場拡大の背景には、規制整備の進展がある。ブラジルは2022年に暗号資産の法的枠組みを整備し、2025年11月にはブラジル中央銀行の決議案519号、520号、521号で、事業者認可、資本要件、顧客資産管理、外為規制の詳細を具体化した。既存の暗号資産事業者は10月30日までに、中央銀行への認可申請手続きに入る必要がある。
法定通貨連動型の暗号資産の売買・交換も外為市場の規律に組み込まれた。これにより、ドル建てステーブルコインについても、ブラジル中央銀行の報告・監督対象としての位置付けが明確になった。
2025年の暗号資産取引額のうち、企業取引は4970億レアルで全体の98.3%を占めた。規制の不確実性が大きかった市場で制度整備が進む中、既存銀行と暗号資産専業事業者の顧客獲得競争は一段と激しくなりそうだ。