Samsung SDSは9月8日、製造RX(Robotics Transformation)を中核とするフィジカルAI戦略を発表した。製造分野で培ってきた知見と製造実行システム(MES)の運用力を基盤に、異機種ロボット連携の標準化を進める。2027年には、生産設備とロボットを統合制御する「ロボットオーケストレーションプラットフォーム」を本格投入する方針だ。
同日、同社はソウルのCOEXコンベンションセンターで企業向けAXカンファレンス「REAL Summit 2026」を開催し、製造現場の自動化と高度化に向けた事業方針を示した。製造工程のデジタル変革にとどまらず、実際の現場運用まで踏み込んだ高度化を主導する考えだ。
この一環として、6月にはクラウドサービス事業部内に「RX事業チーム」と「RX実行チーム」を新設した。
同社は、MESを軸とした製造運用の知見、異機種ロボットの無停止運用能力、グループ会社で検証済みのロボット運用モデルの標準化、Samsung Cloud Platform(SCP)に基づくデータセキュリティ能力を強みに据える。これを基盤に、ロボット間の連携インタフェース標準化や性能基準の共通化を進める。
あわせて、ロボティクス分野のパートナー連携組織「Team REX(Robotics EXcellence)」を立ち上げ、RX事業の拡大を図る。Team REXには、Rainbow Robotics、Walden Robotics、AeiROBOT、NdotLightなど、フィジカルAI関連のグローバル企業10社が参加している。
なかでもSamsung SDSは、トヨタ研究所出身の研究者が設立したフルスタック型フィジカルAI企業Walden Roboticsと、戦略投資および業務協力で合意した。製造現場における主要ユースケースの共同発掘と技術検証を進めている。
両社は、製造現場の手作業をロボットハードウェアとフィジカルAIの組み合わせで代替できるかを検証する。2027年からは、生産設備とロボットを一体的に接続・運用するロボットオーケストレーションプラットフォームを本格展開する計画だ。
Samsung SDSによると、製造ロボットのオーケストレーションは、工場内で稼働する異なるメーカーのロボットを単一ソフトウェア上で統合制御し、ロボットの動きをリアルタイムに最適化する技術を指す。包装、組立、搬送など役割の異なるロボットが衝突しないよう動線を設計するほか、特定ロボットの故障を即時に検知し、工場全体を停止させないよう別のロボットに迂回指示を出す。ロボット群を一元管理する中央管制システムとして機能するという。
Samsung SDSの関係者は「Samsung SDSが25年間にわたり蓄積してきた製造の専門性とロボットオーケストレーション技術に、グローバル水準のフィジカルAIロボット技術を組み合わせることで、製造業の顧客の変革を積極的に支援していく」とコメントした。