ジョー・バイデン前米大統領の次男、ハンター・バイデン氏が、自身を巡る「ノートPC騒動」をモチーフにしたミームコイン「LAPTOP」を9日に公開する。発行基盤には、Coinbaseが展開するBaseを採用する。
複数の海外メディアが7日付で報じた。名称は、2020年の米大統領選を前に注目を集めた「ハンター・バイデンのノートPC」騒動に由来する。ハンター・バイデン氏はX(旧Twitter)に「$LAPTOP」「September 9」と投稿し、公開を予告した。
Wall Street Journalによると、同氏はこのプロジェクトの創設チームに直接関わっているという。
発行総数は10億枚。このうち20%に当たる2億枚を、2回のエアドロップに充てる。
配布対象には、ドナルド・トランプ米大統領のミームコイン「TRUMP」への投資で損失を出したウォレットのほか、ハンター・バイデン氏のSubstack購読者、映像記者アンドリュー・キャラハン氏(Andrew Callaghan)のメーリングリスト登録者などが含まれる。
こうした対象設定の背景には、TRUMP保有者の大幅な損失があるとみられる。TechCrunchはNansenの分析として、6月末時点でTRUMPを購入したウォレット98万8905件が損失状態にあり、損失額は計38億1000万ドル(約5715億円)に達したと報じた。購入者全体の約3分の2に当たるという。
TRUMPは2025年1月、トランプ大統領就任の3日前に公開された後、約75ドル(約1万1250円)まで上昇したが、その後は大きく値を下げた。
LAPTOPのトークン配分も明らかになっている。創設チームには供給量の30%が割り当てられ、公開後6カ月はロックした上で、その後2年かけて段階的に解除する。
別の20%は、慈善団体への寄付や流動性供給、取引所パートナーおよびマーケットメイカー関連費用に充てる。一部はトークン財団の会計、法務、コンプライアンス費用として使う。
特徴の1つが、最大30%をバーンできる条件付きの仕組みだ。あらかじめ定めた30項目の条件を、それぞれの期限内に達成した場合、該当分を永久にバーンする。
条件には、Bitcoinが過去最高値を更新した場合や、LAPTOPの完全希薄化後評価額(FDV)がTRUMPを上回った場合、2028年の米大統領選で民主党が勝利した場合などが含まれる。条件を満たさなかった分はバーンせず、慈善団体に寄付する。
政治系ミームコインでは、関連人物の発表をきっかけに価格が急変した例もある。TRUMPは2025年1月、メラニア・トランプ氏(Melania Trump)のミームコイン「MELANIA」公開直後に約55%下落したとされる。LAPTOPも、公開後は政治イベントや市場環境次第で価格変動が大きくなる可能性がある。
ハンター・バイデン氏はここ数カ月、暗号資産への支持を公言してきた。復旧したXアカウントでは法定通貨や既存の銀行システムを批判し、「分散型デジタル通貨とブロックチェーンは避けられない未来だ」と主張した。
キャンディス・オーウェンズ氏とのインタビューでは、「ミームトークンを信じている」と語り、将来的に「コミュニティーを作る」とも述べた。
一方、トランプ大統領の暗号資産事業を巡る論争も続いている。市民団体Public Citizenは8月末、トランプ氏関連の暗号資産事業5件で、投資家が少なくとも47億ドル(約7050億円)の損失を被ったと推計した。
内訳は、TRUMP関連が32億ドル(約4800億円)、World Liberty Financial関連が約10億ドル(約1500億円)という。
エリザベス・ウォーレン米上院議員(Elizabeth Warren)とリチャード・ブルーメンソール米上院議員(Richard Blumenthal)は8月4日、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長(Paul Atkins)宛てに書簡を送り、TRUMPが「違法な詐欺または不当利得を助長したかどうか」を調査するよう求めた。
LAPTOPは、既存の政治系ミームコイン投資家の損失をエアドロップ対象に組み込み、政治的な出来事をトークンのバーン条件に反映させた点で異色の設計となっている。配布対象の選定や創設チーム保有分の解除スケジュール、条件付きバーンの仕組みを市場がどう受け止めるかが焦点になりそうだ。