人工知能(AI)の普及を背景に、NaverとGoogleの国内検索を巡る競争が一段と激しくなっている。Googleアプリは月間アクティブユーザー数(MAU)で2カ月連続、Naverアプリを上回った。一方、アプリの総利用時間ではNaverがGoogleの約5.9倍に達し、検索エンジン経由の外部サイト流入シェアでもNaverが優位だった。
もっとも、MAU、アプリ利用時間、検索エンジン流入シェアは、それぞれ異なる利用行動を示す指標だ。いずれも国内ユーザーの検索回数全体を直接示す数値ではない。
◆Googleアプリ、MAUで2カ月連続首位
MobileIndexによると、8月のGoogleアプリのMAUは4767万7456人となり、Naverアプリの4725万3614人を42万3842人上回った。
7月もGoogleアプリは4702万2854人で、Naverアプリの4684万5017人を上回っていた。MobileIndexが関連統計の集計を始めた2021年3月以降、GoogleがNaverを上回ったのは7月が初めてだった。
両アプリの差は、7月の17万7837人から8月には42万3842人へ拡大した。7月から8月にかけて、Googleアプリの利用者は65万4602人増えて1.4%増、Naverアプリは40万8597人増えて0.9%増だった。
Googleは検索に加え、DiscoverやLens、AIモードをGoogleアプリ内で提供している。昨年国内に導入したAIモードは、複雑な質問への回答や関連情報の探索に対応する機能だ。
さらに今年5月には、検索窓にテキスト、画像、ファイル、動画などを入力できる機能や、ユーザーの作業を代行する検索エージェントも公開した。従来のように検索語を入力してリンク先を確認する形から、アプリ内で質問し、そのまま結果を確認する利用形態の強化を進めている。
ただ、MAUはアプリを使った人数規模を示す指標にすぎず、検索、Discover、Lens、AIモードのどの機能が使われたかまでは区別しない。このため、GoogleアプリのMAU逆転を、そのまま検索利用者数の逆転とみることはできない。
◆総利用時間はNaverが約5.9倍
アプリの利用時間では、NaverがGoogleを大きく引き離した。8月のNaverアプリの総利用時間は3億1248万5518時間で、Googleアプリの5316万7559時間の約5.9倍だった。
1人当たりの月平均利用時間でも、Naverアプリは396.78分、Googleアプリは66.92分と、同じく約5.9倍の差がついた。月平均に換算すると、Naverアプリは約6時間37分、Googleアプリは約1時間7分となる。
7月比では、Naverアプリの総利用時間は3億1172万1554時間から0.2%増えた一方、Googleアプリは5359万613時間から0.8%減少した。1人当たり利用時間は、Naverが399.27分から396.78分へ0.6%減、Googleが68.38分から66.92分へ2.1%減だった。
Naverアプリの利用時間が長い背景には、検索に加え、ニュース、ブログ、カフェ、ショッピング、ショートフォームサービス「Clip」など複数のコンテンツをアプリ内で消費する構造がある。検索を起点にコンテンツ、コマース、地域サービスへつなぎ、アプリ内の回遊や滞在を伸ばしてきたことが反映された形だ。
もっとも、両アプリは提供するサービスの範囲や利用形態が異なる。総利用時間の差はアプリ全体の利用構造を示すものであり、検索そのものの利用時間差として単純に比較するのは難しい。
◆外部サイト流入はNaverが優位、AI検索は集計に限界も
検索エンジン経由で外部サイトへ流入した比率でも、NaverがGoogleを上回った。InternetTrendが8月1日から31日まで集計した検索エンジン流入シェアは、Naverが60.53%、Googleが32.49%だった。Daumは3.72%、Microsoft Bingは3.12%だった。
ただし、この数値は検索エンジンで発生した検索回数全体を示すものではない。検索を経て調査対象サイトに流入した訪問を基準に、検索エンジン別の比率を算出した結果だ。
そのため、検索結果画面やAI回答で情報確認を終え、外部サイトに遷移しなかった利用は統計に反映されない可能性がある。GoogleとNaverがいずれも検索結果画面でAI回答を直接提供している点も、解釈には考慮が必要だ。
また、MobileIndexとInternetTrendでは集計対象も異なる。MobileIndexはAndroidとiOSのアプリ利用者数と利用時間を集計しており、Web利用は含まない。一方、InternetTrendはWebサイトへの訪問行動を基に、外部流入を発生させた検索エンジンの比率を測定している。
このため、GoogleアプリのMAUがNaverアプリを上回ったことと、検索エンジン流入シェアではNaverが優位に立っていることは、必ずしも矛盾しない。GoogleアプリのMAUは接点の広がりを、検索エンジン流入シェアは検索が外部サイト訪問につながった度合いを、それぞれ示しているためだ。
Naverは、検索エンジン流入で優位を維持する一方、既存の検索基盤をAI検索と自社サービスへ拡張している。6月25日に正式リリースしたAIタブは、8月初旬時点でMAUが1000万人を超えた。統合検索に導入したAIブリーフィングの月間純利用者も3000万人規模に達するという。AI検索の結果をショッピングやPlace、予約につなげる戦略も進めている。
今回のMAU逆転は、Googleの国内モバイル接点が広がっていることを示すシグナルといえる。ただ、アプリ利用者数だけをもって国内検索市場の主導権が移ったと判断するのは早い。アプリの利用時間、検索エンジン流入、実際の検索回数、AI回答の利用量などをあわせてみる必要がある。
業界関係者は「MAUはサービスを利用した人数規模、利用時間はアプリ内にどれだけ滞在したかを示す指標だ」としたうえで、「検索エンジン流入シェアも外部サイトへ移動した比率を示すもので、単一の指標だけで検索市場の優位性を判断するのは難しい」と話した。