写真=聯合ニュース

韓国政府が今年を「AI G3飛躍元年」と位置付け、大規模な財政支援を進めるなか、2026年の国政監査では独自AI基盤モデルの事業化の実績、高性能GPU 26万枚の運用計画、AIチャットボットの安全対策が主要な争点に浮上する見通しだ。

国会立法調査処が公表した「2026国政監査イシュー分析」は、科学技術情報通信委員会の所管分野におけるAI関連課題として、独自AI基盤モデルの市場浸透、GPU向け電力の確保、AI人材の海外流出、AIリテラシー、児童・青少年向けチャットボット保護を挙げた。

同調査処の分析は国政監査の質疑内容を直接拘束するものではない。ただ、議員室が質問や資料要求を準備する際の参考資料として活用される。報告書には論点ごとの質問例に加え、政府に求める資料も盛り込まれており、政策の実効性を巡る追及につながる可能性がある。

◆独自AI基盤モデル、問われる事業化と海外製AIの代替効果

まず焦点となるのは独自AI基盤モデルだ。政府はGPU、学習データ、人材誘致費用などを投じて国内AIモデルの性能向上を後押ししてきたが、それが実際に市場投入や海外製AIの代替につながったのかが検証対象になるとみられる。

政府は昨年8月、LG AI Research、SK Telecom、Upstage、Naver Cloud、NC AIの5チームを選定した。6カ月ごとの段階評価で下位チームを絞り込む競争方式を導入しており、今年1月の第1次評価に続く8月の第2次評価では、技術評価や専門家評価に加え、一般評価団200人による実使用評価も反映した。

立法調査処は、参加チームがモデル性能、技術の独自性、推論効率を高めた一方、それを活用したサービスはなお公共部門とコンソーシアム参加企業に偏っていると評価した。評価基準が独自性や性能評価に偏重し、企業が商用サービスへの投入より評価点の確保を優先する構造になっているという見方だ。

同調査処は「事業本来の目的は海外製AIモデルの代替にあるが、政府支援は技術開発に集中し、市場進出支援は不十分だった」と分析した。評価の仕組み自体が、選抜チームに対して事実上「市場より技術評価を優先する」インセンティブを与えたとも指摘している。

その間、海外製AIの国内での存在感はむしろ拡大した。政府の「2025インターネット利用実態調査」によると、生成AIサービス利用者のうちChatGPTの利用比率は41.8%、Geminiは9.8%だったのに対し、国内サービスのClova Xは2.0%にとどまった。WiseApp・Retailの調査でも、今年上半期のChatGPTの月平均利用者数は2324万人となり、前年同期比で986万人増えた。

国政監査では、チーム別のGPU・データ・人材誘致支援の実績、第1次・第2次評価の結果、独自AI基盤モデルを基にしたサービス投入状況などが集中的に取り上げられる見通しだ。競争過程で外れたチームに投じた資源や開発モデルをどう活用するかも論点となる。技術性能だけでなく、利用率、売上高、公共・民間での導入実績といった市場成果を評価に反映すべきだとの要求が出る可能性もある。

AI業界関係者は「短期間で成果を求める競争方式のため、モデル高度化と並行して育つべきAIエコシステムが十分に形成されなかった点は惜しい」と話した。そのうえで「市場形成には、AI分野でのみ利用できるバウチャーの導入などを通じて企業の再投資を促す方法が有効だ」と述べた。

◆GPU 26万枚の運用計画、電力・用水の裏付けが焦点

政府が確保を進める高性能GPU 26万枚の実運用計画も主要論点に浮上する。立法調査処は、GPU 26万枚の運用には最大1GW規模の常時電力が必要になると推計した。国内全体で電力に余力があっても、GPUを収容するデータセンターごとの系統条件によって、適時稼働の可否が左右されるという指摘だ。

同調査処は「GPUの稼働可否は全国ベースの総量ではなく、個別データセンターが立地する地域の電力供給条件に左右される」と分析した。分散型電源の活用方針だけでは計画とは言えず、圏域ごとの電力確保量と供給時期まで盛り込んだ詳細計画が必要だとしている。

国政監査では、GPUの年度別・圏域別の配分計画、電力・用水需要の推計、地域別の電力系統余力が主要な質問項目となる見込みだ。光州国家AIデータセンターと独自AI基盤モデル事業に投入したGPUの実際の電力・用水使用量を基に、26万枚導入計画の妥当性を検証したかどうかも確認対象になる。

クラウド業界関係者は「全国一律の電力・用水の総量規制を適用すれば、データセンターだけでなくAI・クラウド産業の成長まで制約しかねない」と指摘した。地域ごとの電力網や用水条件を踏まえて規制を差別化し、効率改善や再生可能エネルギー投資には許認可の合理化とインセンティブを併用すべきだと述べた。

◆青少年向けAIチャットボット、問われる設計段階の保護策

AI利用者の安全も重点的に扱われる可能性が高い。とりわけ児童・青少年がAIチャットボットに過度に没入したり、情緒的に依存したりしないよう、サービス設計の段階から保護装置を備えるべきだとの要求が出ている。

AIチャットボットは、称賛や共感といった報酬性の高いフィードバック、関係深化を促す誘導、反復質問やプッシュ通知などによって、利用時間や情緒的依存を高めるおそれがある。一方で政府は、主要事業者の年齢確認、有害対話の遮断、利用時間管理、自傷や性的対話など高リスク状況への対応水準を比較・評価する具体的な基準を用意できていないとの指摘を受けている。

立法調査処は「AIチャットボットのリスクは、有害な回答が生成された後に削除・遮断するだけでは十分に予防しにくい」と指摘した。個々の回答内容だけでなく、サービス構造や利用方式そのものからリスクが生じ得るため、設計段階から過度な没入と情緒的依存を抑える必要があるという説明だ。

草緑傘こども財団の調査では、児童・青少年の94.4%がAIチャットボットの利用経験があると回答した。このうち75.3%は、チャットボットの回答を実際の行動に移したり、真剣に検討したりした経験があるとしている。

国政監査では、国内主要AIチャットボット事業者の未成年者保護措置、過度な没入を防ぐ機能、利用者からの通報や苦情処理の状況などが点検される見通しだ。科学技術情報通信部、教育部、保健福祉部、女性家族部、個人情報保護委員会、放送メディア通信委員会に分散する保護業務を調整する、政府横断的な対応体制も争点になるとみられる。

このほか、海外に流出するAI人材への対策や、生成AIの活用法に偏った教育政策も国政監査の論点として挙がっている。立法調査処によると、韓国のAI人材の純流入率は人口1万人当たりマイナス0.36人で、経済協力開発機構(OECD)38カ国中35位だった。

政府は今年、41省庁で741件のAI事業を推進し、9兆9000億ウォンを編成した。こうした大規模投資が進むなか、今回の国政監査では投資額そのものより、産業や市場でどのような成果を上げたのかを問う質疑が目立つ見通しだ。電力、人材、安全といった基盤政策が、産業の成長スピードに見合っているかどうかも主要な検証対象となる。

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