Bitcoinの採掘イメージ(写真:Shutterstock)

Bitcoinネットワークのハッシュレートが、史上初の「弱気局面」に入ったとの見方が出ている。投資会社Twenty One Capitalの最高経営責任者(CEO)ラパ・ザグリ氏は3日、香港で開催された「Bitcoin Asia 2026」で、採掘業界がAI・HPC向けへと軸足を移しつつあると指摘した。ブロックチェーンメディアCoinpostが報じた。

ハッシュレートは、Bitcoinネットワーク全体に投じられる採掘計算能力を示す指標。ザグリ氏によると、ネットワークのハッシュレートは昨年末に約1.3ゼタハッシュ/秒(ZH/s)まで上昇した後、緩やかな低下局面が続いている。

さらに、過去最高値を回復するまでの期間はこれまでで最も長いという。Bitcoin価格ではなく、ネットワークの基礎体力を示す指標が長期にわたり停滞、あるいは後退している点を、同氏は重視している。

同氏は、今回の局面は2021年に中国政府が採掘を禁止した後の急落とは性格が異なると説明した。当時は稼働停止でハッシュレートが急低下したものの、採掘機器が他地域へ移転したことで、比較的早く持ち直したという。

一方、足元では電力や設備の使途そのものが変わっている。最大の分岐点として同氏が挙げたのが、AIとHPC(高性能コンピューティング)の台頭だ。

上場採掘企業の事業構造も急速に変化している。ザグリ氏は、多くの上場採掘企業が大規模なBitcoin採掘専業モデルから離れ、AI事業へと重心を移していると述べた。

背景にあるのは、電力当たりの収益性の差だ。採掘企業がAI事業者向けに電力インフラを貸し出す契約単価は、現在の採掘収益性を大きく上回るという。

企業は冷却システムなどを含め、1メガワット(MW)当たり800万〜1500万ドルを投じてでも、AI・HPC向けへの転換が有利だと判断しているとした。

こうした流れは契約規模にも表れている。上場採掘企業が公表したAI・HPC関連契約の累計額は、2026年9月時点で700億ドルを超えた。

採掘向けに整備した変電設備や送電網は、CoreWeaveやMicrosoft(MS)、Anthropicといった大手クラウド・AI企業に電力を供給するインフラとして再活用されているという。

すでに収益構造が変わった企業もある。Core ScientificとTerawulfでは、データセンター賃貸に伴うAI関連収入が、従来の採掘収入を上回っているとされる。

Kill Infrastructureは、米国内の採掘拠点から全面撤退した。一方、Riot Platforms、CleanSpark、MARA Holdings、Bitdeerは採掘事業を維持しつつ、AI・HPC向けの電力契約や施設転換を並行して進めているという。

これに伴い、Bitcoin採掘業界の競争軸は、採掘機器の増設から電力の確保とデータセンター転換能力へと移りつつある。ハッシュレートの弱気局面が長引けば、ネットワークの成長ペースや採掘各社の収益モデルは、AIインフラ市場との競合の影響を一段と強く受ける可能性がある。

キーワード

#Bitcoin #ハッシュレート #採掘 #AI #HPC #データセンター #電力
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.