Coupangの個人情報流出問題を巡り、米韓間で通商問題に発展する可能性も取り沙汰されている。写真=Reve AI

Coupangの個人情報流出問題を巡る米韓の対立が、通商摩擦に発展する可能性が浮上している。対立が長期化した場合、米議会やホワイトハウスが韓国に対する追加関税を含む対応を検討する可能性があるとの見方が、米政界や関係者の間で出ている。

8月31日付の米CNBCによると、争点となっているのは、昨年11月に公表されたCoupangの個人情報流出事件を受けた韓国政府の対応だ。米下院司法委員会の共和党議員がまとめた報告書は、韓国政府がシアトルに本社を置くCoupangに対し、前例のない圧力をかけたと主張した。

Coupangは、流出の規模は限定的だったとしている。一方、韓国政府は、流出した個人情報による消費者被害の可能性をより深刻に見ていたとされる。その後、韓国側は聴聞会を開き、Coupangの暫定最高経営責任者(CEO)に対する刑事処罰の可能性に言及。6月には、個人情報流出と違法な個人情報収集の疑いで、6250億ウォンの課徴金を科した。

### 米政界で「同盟国間の問題」との見方、関税圧力を求める動きも

米政界では、この問題を単なる企業紛争として扱うべきではないとの声が出ている。Coupangと助言関係にあるロビー関係者で、スカイライン・キャピトル代表のクリス・スチュアート氏は、問題は米国と韓国という主要同盟国の関係に関わるものだと指摘した。

同氏は、両国が対抗措置の応酬に向かう事態は望ましくないとしつつも、韓国政府が姿勢を変えなければ、米大統領の関税権限が行使される可能性があるとの見方を示した。

通商面での圧力を求める動きも続いている。共和党のバーニー・モレノ米上院議員は先週、ジェイミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表に対し、韓国を対象とした公式調査の実施と追加関税の検討を促した。

1月には、Coupangの投資家であるGreenoaks Capital PartnersとAltimeter Capitalも、韓国政府がCoupangを差別的に扱ったかどうかを調査し、追加関税を検討するよう要請。通商法301条に基づく調査を請願した。ただ、Coupang案件を直接対象とする公式調査の開始は現時点で発表されておらず、USTRの資料でも本件は「請願」に分類されている。

今回の問題には、米韓の通商関係の緊張も重なっている。ドナルド・トランプ米大統領は8月16日、韓国との年次軍事演習を縮小する方針を示したが、ホワイトハウス関係者は、Coupang案件との直接的な関連はないと説明した。

その一方で、米技術企業を過度に規制する外国政府を念頭に置いた昨年の大統領令に触れ、韓国政府が複数の二国間課題で米国と異なる立場を取ってきたとも指摘した。

両国は2025年の貿易合意を再調整し、韓国が米造船業と国家安全保障分野に3500億ドル(約52兆5000億円)を投資し、米企業への規制を緩和する代わりに、より低い関税率の適用を受けることで合意した。しかし、関連事業の確定が遅れたことで摩擦は続き、トランプ政権は7月、韓国を含む複数国に新たな輸入関税を課した。

USTRは7月、韓国製の一部製品に対し、10%または12.5%の関税率を適用する措置を発表している。

### 流出規模やノートPC回収を巡り、米韓の主張に隔たり

流出規模を巡っても、米韓の主張には大きな隔たりがある。韓国政府は影響対象が3755万人に上ると発表したが、米議会報告書は、元従業員が実際に保有していた情報は約3000アカウント分に関連するものだと主張した。流出した情報の範囲と、実際に保管されていた情報の規模をどう切り分けるかによって差が生じているという。

米議会報告書には、国家情報院が上海の川に捨てられたノートPCの回収過程に関与したとの主張も盛り込まれた。報告書によると、韓国政府はCoupangに対し、当該ノートPCを回収するため潜水士を雇うよう求めたとしている。

これに対し、韓国政府は全面的に否定した。在米韓国大使館は、国家情報院は大規模な個人情報流出を受け、情報共有と追加被害の防止に向けた実務協議を行っただけで、Coupangに特定の措置を強制したり指示したりした事実はないと説明している。

ワシントンの反応が一枚岩というわけではない。民主党の一部には、米国内での事業基盤が限定的なCoupangに共和党が過度に焦点を当てているとの見方もある。一方、Coupang本社があるワシントン州の民主党議員らは、韓国政府の対応に懸念を示している。

米下院司法委員会の共和党側は、韓国政府のCoupangへの対応を米企業に対する差別的措置と位置付けているが、韓国政府は、同報告書がCoupang側の主張を相当程度反映したものだと反論している。双方の主張が平行線をたどるなか、Coupangを巡る問題は企業規制の枠を超え、追加関税や通商政策、さらには米韓同盟にも影響し得る案件へと広がりつつある。

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