ビットコインを通貨膨張への備えとして位置付ける考えを改めて示したリカルド・サリナス氏。写真=Reve AI

メキシコの実業家リカルド・サリナス氏が、法定通貨インフレから資産を守る手段として、ビットコインの購入と保有を改めて訴えた。法定通貨インフレを「隠れた税」と批判し、中央銀行主導の通貨システムへの不信感を改めて示した。

Bitcoin Magazineによると、サリナス氏は2日(現地時間)、X(旧Twitter)に投稿した動画で、貯蓄を守るにはビットコインを保有すべきだと主張した。

サリナス氏は、Grupo ElektraやBanco Aztecaで知られるメキシコの富豪。動画では、既存の通貨システムから距離を置き、自らの貯蓄を守る必要があると強調した。

同氏は「ビットコインは通貨の根本原理を変える」としたうえで、「誰かの都合で、いくらでも増やせるものではない」と述べ、供給量を恣意的に増やせない点を中核的な特徴として挙げた。

さらに、現在の法定通貨システムの構造的な問題にも言及した。人は収入を増やすために働かなければならない一方で、通貨システムの側では新たなマネーを生み出せると指摘した。

その上で同氏は、「だまされるな。学び、貯蓄を守り、自由を守れ」と呼びかけ、「ビットコインを買って保有せよ」と訴えた。

サリナス氏がビットコイン支持を表明するのは今回が初めてではない。数百万人のフォロワーを抱えるXでは、政府の通貨政策や中央銀行による通貨発行を継続的に批判してきた。

Xへの投稿にとどまらず、インタビューやカンファレンスでの基調講演、動画メッセージなどでも、一貫して法定通貨への批判とビットコイン支持を打ち出している。

最近では、自身の投資ポートフォリオに占めるビットコインの比率を大幅に引き上げたことも明らかにしている。サリナス氏は今年初め、同比率を従来の10%から70%へ引き上げたと主張した。

こうした投資判断の背景として、同氏は中央銀行の通貨政策に対する不信を繰り返し挙げてきた。

2022年に開催された「Bitcoin 2022」でも、同氏は伝統的な法定通貨システムを強く批判した。当時はこれを「法定通貨詐欺」と表現し、連邦準備制度(Fed)が過度に通貨を発行していると主張していた。

中央銀行による通貨膨張が通貨価値や個人の貯蓄を損なう可能性がある――。これがサリナス氏の一貫した問題意識だ。同氏はビットコインを中央機関の統制を受けない希少資産と位置付け、インフレへの対応手段として提示してきた。

また、個人レベルでもビットコインの普及を働きかけてきたという。周囲の知人や家族にもビットコインを勧めてきたとし、あるインタビューでは、妻を説得して住宅を担保に融資を受け、その資金でビットコインを購入したとも語っている。

今回の発言も、ビットコインの短期的な値動きではなく、法定通貨システムの構造的な問題と貯蓄価値の保全に焦点を当てた内容といえる。中央銀行の通貨発行による価値希薄化への懸念が強まる局面では、ビットコインをインフレヘッジとみなす見方が改めて強まりそうだ。

サリナス氏はXへの投稿で、「人は働くとき、自分の時間、つまり人生をお金と交換している。だが政府が好きなだけ通貨を作り、その価値を薄めるなら、人が犠牲にして稼いだ時間を奪うことになる。法定通貨インフレは隠れた税だ」と述べた。

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