写真=Reve AI

米国防総省でAI政策と調達を担当するエミル・マイケル(Emil Michael)研究工学担当次官兼最高技術責任者(CTO)が6月、AI検索スタートアップPerplexityの株式を500万~2500万ドル(約7億5000万~37億5000万円)で売却していたことが分かった。Anthropicを巡る国防総省の措置に関与していた時期と重なることから、利益相反を懸念する声が広がっている。

英紙ガーディアンが2日(現地時間)、金融開示資料を基に報じた。今回のPerplexity株売却は、マイケル氏にとって今年3件目のAI関連資産の売却に当たる。1月にはイーロン・マスク氏のxAI株を500万~2500万ドル(約7億5000万~37億5000万円)で売却し、最大2400万ドル(約36億円)の売却益を得たという。

4月にはフィンテック企業Brexの株式も売却し、売却額は少なくとも500万ドル(約7億5000万円)に上った。

マイケル氏はトランプ政権入り前、Perplexityのアドバイザリーボードを務めていたが、2025年初めに退任。その後、2025年5月に政権に加わり、国防総省でAI政策と調達を担ってきた。

今回のPerplexity株売却が注目されているのは、マイケル氏が今年、国防総省によるAnthropicへの措置を巡って公の場で中心的な役割を果たしてきたためだ。AnthropicはPerplexityやxAIの競合企業であり、米政府のAI関連契約を巡って競っている。

トランプ大統領は2月27日、連邦政府でのAnthropic技術の使用停止を指示した。これを受けて国防総省は3月、Anthropicを「国家安全保障上のサプライチェーンリスク」に指定した。

この指定により、米軍と取引する契約企業などによるAnthropicとの取引も制限された。マイケル氏は当時、Anthropicに関するサプライチェーンリスク評価の過程にも関与したとされる。

一方、米カリフォルニア北部連邦地裁のリタ・F・リン(Rita F. Lin)判事は先月27日、国防総省によるAnthropicのサプライチェーンリスク指定について、関連規定に違反し、政府方針への異論に対する報復措置に当たるとの判断を示した。裁判所は当該措置を無効とし、恒久的差し止め命令を出した。

xAI株の売却も、その時期を巡って議論を呼んだ。マイケル氏は政府倫理局から2025年12月18日にxAI株処分の認証を受け、2026年1月9日に実際に売却した。

その間、国防総省はxAIと新たな契約を締結し、その後、xAIのGrokを軍の機密ネットワークに導入した。マイケル氏が政府入り時点で申告していたxAI株の保有額は50万~100万ドル(約7500万~1億5000万円)だったが、売却額は500万~2500万ドルに達した。

Perplexityとの金銭関係も、倫理上の論点となっている。2025年の金融開示によると、マイケル氏は政府入り前、Perplexityから25万~50万ドル(約3750万~7500万円)を年利4.57%の個人ローンとして借り入れていた。

マイケル氏は倫理合意の中で、未確定のPerplexity株式から利益を得ないと約束していた。ただ、6月に売却した株式が確定済み持ち分だったのか、未確定持ち分を含んでいたのかは、公開資料からは確認できない。

ジョージ・W・ブッシュ政権でホワイトハウス倫理担当弁護士を務めたリチャード・ペインター(Richard Painter)氏は、マイケル氏について、公職に就く前に関連株式をすべて処分すべきだったと指摘した。これに対し国防総省報道官は、マイケル氏を含む国防当局者は倫理関連の法令と規定を順守しており、多層的な倫理審査手続きを経ていると説明した。

Perplexityは現在、Nvidiaと新規資金調達を協議中で、交渉が成立すれば企業価値は300億ドル(約4500億円)を超える見通しとされる。これは2025年9月時点の評価額200億ドル(約3000億円)を50%以上上回る水準だ。

今回の一連の売却により、米国防総省でAI調達を担う高官が、政府契約を争う競合AI企業の株式を保有し、また処分していたことへの懸念は一段と強まっている。一方で、公開情報だけでマイケル氏の株式売却と国防総省の個別の契約判断との間に直接の因果関係があったと断定することは難しい。

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