金融委は2日、小規模事業者向けの信用評価モデル「SCB」の試験運用が銀行業界で始まったと明らかにした。従来の金融取引履歴や返済能力に加え、売上高や業種、商圏など事業の成長性も評価に反映する仕組みで、小規模事業者向け融資の与信判断を見直す動きが本格化する。ただ、実際の活用方法は銀行ごとに異なり、内部等級の引き上げに使う先もあれば、融資枠や金利の優遇に広げる先もある。
SCBは、従来の信用評価で十分に捉えにくかった事業性や成長余地を補うための枠組みだ。既存の信用等級に加えて成長性を別軸で評価し、成長性が高いと判断された小規模事業者には、より上位の成長信用等級が付与される。これにより、融資承認、限度額の拡大、金利引き下げなどにつながる可能性がある。
事前検証では、従来方式では融資が否決された先が、SCBの適用で承認に転じた事例も確認された。コーヒー専門店を運営する40代のA氏は、信用取引履歴の乏しさから従来評価では7等級となり、融資を受けられなかったが、SCBで事業の成長性と返済余力が加味され、6等級に引き上げられて承認を得た。
SCBが評価する成長性は、単なる定性的な判断にとどまらない。銀行業界のガイドラインでは、小規模事業者の将来成長性を示す成長等級(S等級)を10段階で区分する。業種特性を踏まえて4つのセグメントに分け、売上成長率や年間売上高の規模などを基に成長の有無を判定する。基本は統計と人工知能に基づく計量モデルで、定性評価はその結果に加点する方式を採る。
評価項目には、売上高、業種、商圏に加え、事業継続性、営業年数、従業員数、顧客認知度、需要動向などが含まれる。流通プラットフォームを利用する事業者については、訪問数や再訪問、ブックマークなどのデータも総合的に反映できる。信用情報院が成長等級を算出し、信用情報会社(CB)が既存の信用等級と組み合わせて成長信用等級を作成し、銀行が実際の与信審査に活用する仕組みだ。
実際の運用では、SCBは従来の信用評価を置き換えるものではなく、既存評価で十分反映しきれなかった成長性を補完する指標として使われている。ただし、その反映方法には各行で差がある。
ある銀行は現在、SCBを優良先の内部戦略等級を引き上げる「オーバーライド」戦略に活用している。従来評価では内部戦略等級が7等級で審査基準を満たさない先でも、SCBで良好な評価を得れば6等級に引き上げ、承認可能なゾーンに入れる仕組みだ。
この銀行は当面、SCBを融資承認判断に重点的に使っており、金利や限度額の優遇には直接反映していない。ただ、SCBで高評価を得た先に追加の融資枠を付与する案を検討しており、9月中の実施を予定している。
別の銀行では、SCBで高い評価を受けた借り手に対し、融資枠の優遇や支援対象の拡大を適用している。従来の信用評価と与信審査は維持したまま、SCBの結果を追加で確認し、既存評価だけでは把握しにくい成長可能性を補完的に判断する運用だ。
銀行業界では、SCBを既存のCB等級や内部信用評価に代わる独立した審査基準ではなく、追加の判断材料と位置付ける見方でおおむね一致している。
銀行関係者は「これまでは代表者の個人CB情報や財務情報を中心に審査してきたが、SCB導入後は売上の流れや営業継続性、成長可能性といった事業者特化の情報も審査に反映できるようになった」と説明した。
もっとも、SCBで高い成長等級を得たとしても、融資が自動的に承認されるわけではない。ある銀行は、SCBの評価が良好でも、既存の内部戦略等級や換算企業等級が一定水準に届かなければ、承認対象に入らない可能性があるとしている。
別の銀行も、SCBで高評価を得た借り手は追加支援を受けられる可能性が広がる一方、延滞など既存の審査基準を満たさない場合は支援が制限され得ると説明する。
別の銀行関係者は「SCBの成長等級が高くても、延滞履歴や過大な負債、返済能力不足など他のリスク要因が確認されれば、融資が制限されたり優遇対象から外れたりする可能性がある」と話した。
ガイドラインでも、SCBの評価結果だけで融資可否を自動決定する審査体制は認めていない。銀行は既存の信用度や返済能力と併せて、SCBの結果を与信審査に反映する必要がある。
このためSCBは、従来の信用評価をなくす制度ではなく、既存評価では境界線の下にあった先や、金融情報だけでは事業性を十分評価されにくかった小規模事業者に対し、成長性に基づく追加の評価機会を与える補完的な仕組みといえる。
金融当局は、SCBの活用範囲として融資承認、限度額の拡大、金利引き下げなどを認めているが、実際の適用範囲や優遇基準は各行の与信戦略によって異なる。銀行業界によると、SCB等級に応じた優遇の有無や水準は、借り手のリスク水準や内部与信方針を踏まえ、各銀行が個別に定める。
ガイドラインでも、銀行がSCBの評価結果に応じて融資枠や金利、担保水準を変えて運用できるようにする一方、具体的な優遇基準は一律には定めていない。
金融委が公表した事前検証の事例では、金利と融資枠が同時に改善したケースもあった。オンラインプラットフォーム加盟店を運営する30代のB氏は、SCBで上位等級と認められ、追加で1.0ポイントの金利減免を受け、年3%台の金利で3000万ウォンの事業資金を利用できるようになった。卸小売業のD氏は、従来およそ3000万ウォンだった融資可能額が4000万ウォンへと1000万ウォン増え、約0.7ポイントの金利優遇も適用された。
金融当局は、銀行の積極活用を後押しするための免責措置も整えた。銀行や役職員が関連法令と内部手続きを順守し、合理的な根拠に基づいてSCB融資を取り扱った場合、その後に当該融資で不良債権化や損失が発生したことだけを理由に制裁しない。私的な利害関係がなく、手続き上の重大な瑕疵もない場合は、特段の事情がない限り、故意または重過失はないものと推定する。
試験運用は、Kookmin Bank、Industrial Bank of Korea、NongHyup Bank、Busan Bank、Shinhan Bank、Woori Bank、Jeju Bank、Hana Bankの8行で始まった。Gyeongnam Bank、Gwangju Bank、Suhyup Bank、iM Bank、Jeonbuk Bank、KakaoBank、K Bank、Toss Bankの8行も下半期中に順次参加する予定だ。金融委によると、試験運用の目標規模は総額2兆2000億ウォン。
今回のSCB導入のポイントは、小規模事業者向け融資で、これまで「過去の信用」だけでは捉えにくかった事業の成長性を実際の与信審査に組み込む点にある。一方で、試験運用の初期段階から、融資承認、融資枠、金利といったどの領域まで反映するかには銀行ごとの差が出ている。成長等級が今後どこまで広く実務に反映されるかが、制度の実効性を左右することになりそうだ。