韓国の中古スマートフォン市場が拡大を続けている。一方で、使用を終えた端末の7割超は依然として中古市場に流れておらず、個人情報流出への不安や取引への不信感が流通拡大の足かせとなっている。導入から1年余りがたった「中古スマホ安心取引事業者認証制度」についても、認知度と活用度の向上が課題として浮上している。
市場規模は681万台、端末の72.1%は市場に流れず
情報通信政策研究院(KISDI)が2日に公表した報告書「国内中古スマホ市場規模の推定と示唆」によると、韓国の中古スマートフォン市場規模は2023年の620万台から2024年に635万台へ拡大し、2025年は681万台に達した。
ただ、使用を終えた端末が実際に中古市場へ流入する割合はなお低い。昨年、再販可能な端末の割合は27.9%にとどまり、残る72.1%は廃棄、寄付、長期保管などに回り、市場に出ていないことが分かった。
流通を妨げる最大の要因は、個人情報流出への不安だ。報告書は、中古市場に出さない理由として、個人情報流出への懸念を50.8%、取引手続きの煩雑さを32.7%と挙げた。
現状の傾向が続いた場合、使用済み端末の市場流入率の改善幅は年1.2ポイント程度にとどまる見通しだ。
認証事業者は50社超に拡大、制度浸透はなお道半ば
科学技術情報通信部は昨年5月、「中古スマホ安心取引事業者認証制度」を導入した。個人情報の削除手順を整備し、端末の等級別買い取り価格など利用者保護に関する情報を提供する流通事業者を、政府が認証する仕組みだ。
認証事業者は制度導入から約1年で50社超に増えた。ただ、事業者数の増加に比べ、制度が消費者に十分浸透しているかについては疑問の声も根強い。より多くの中古スマホ事業者や販売店が基本的な取引基準を順守するよう、制度の裾野を広げる必要があるとの見方も出ている。
認証事業者の関係者は、「認証取得の手続き自体はそれほど難しくない」とした上で、「契約書の作成、データ消去、端末等級と価格基準の告知など、中古スマホ取引で当然守るべき基本事項を徹底することが重要だ」と話した。
また、「代理店も基準を守れば十分に認証を受けられる。認証が過度に難しい制度である必要はない」とし、「通信店舗だけでも1万店を超えるのに、認証事業者が数十社にとどまるのは、制度の活用がまだ十分に広がっていないことを示している」と指摘した。
認証事業者が増える局面では、「認証」の対象範囲を消費者に分かりやすく示す必要性も出ている。一部の通信会社や大手事業者は、本社が構築した中古スマホ買い取りシステムや無人買い取り機を複数店舗で共同利用しているためだ。
このため、システムそのものが認証基準を満たしていても、それを利用する個別店舗まで認証事業者と見なせるのかを巡り、現場では混乱も生じている。
「眠る端末」掘り起こしに期待、業界は実効策を要望
市場の成長基調自体は鮮明だ。KISDIによると、昨年の中古スマホ取引では事業者向けの売却が67.1%を占め、個人間取引の32.9%を大きく上回った。
現場でも需要の拡大を実感している。制度導入初期に認証を取得した事業者の1社では、最近の買い取り量が従来の2倍超に増えたという。
業界では、フラッグシップスマートフォンの価格上昇と既存モデルの性能平準化を背景に、中古スマホ市場の潜在成長力は大きいとの見方が共通している。
KISDIは、「中古スマホ買い取り事業者による一括買い取りプログラムや、保管端末の回収キャンペーンは、市場規模の拡大に実質的に寄与し得る」と指摘した。その上で、「特に新端末への買い替え時に、保管していた端末もあわせて回収するよう促す政策的インセンティブが効果的だ」とした。
今後は認証事業者数の拡大に加え、消費者が実際の取引過程で制度のメリットを実感できるようにすることが課題となる。業界では、認証事業者による個人情報削除を支えるセキュリティソリューションの提供など、政府が実効性のある支援策を並行して講じる必要があるとの声も上がっている。
業界関係者は、「認証制度に関する政府の周知活動の効果が見えにくい」とした上で、「一般消費者が接する媒体を活用し、制度そのものをより幅広く知らせる必要がある」と述べた。