Santa Feを軸に米国でEREVを展開し、Genesisにも拡大する方針。写真=Hyundai Motor

Hyundai Motorは、米国市場で航続距離延長型EV(EREV)の投入を本格化する。まず3列SUV「Santa Fe」を軸にラインアップを広げ、今後は高級ブランドGenesisにも展開する計画だ。米国での生産体制拡充や、2030年に向けたハイブリッド車の強化策とも歩調を合わせる。

8月30日、電気自動車メディアのCleanTechnicaが報じたところによると、Hyundai Motorは米国でEREVの商品展開を拡大する方針だという。

EREVは、走行そのものはバッテリーとモーターで担い、ガソリンエンジンは車輪を直接駆動せず、発電機としてバッテリーの充電に使う方式。エンジンが走行にも関与する一般的なプラグインハイブリッド車(PHEV)とは仕組みが異なる。

こうした動きの背景には、中国での規制見直しもある。中国当局は最近、電池のみで100km以上走行できないPHEVを、新エネルギー車(NEV)向けインセンティブの対象外とした。

もっとも、この100kmという数値は中国の比較的緩やかな測定方式に基づくものだ。米環境保護庁(EPA)基準に換算すると通常は2割ほど短くなり、約50マイル(約80km)程度になる。これは、シボレー・ボルトの航続距離に近い水準だという。

規制変更後は、BYDが電気と燃料を組み合わせて最大1300km走行できるモデルを投入した。

Genesisもこの戦略の対象となる。Genesisは最近、「GV80」のハイブリッドモデルを発表したが、EREVの先行投入車種としては「GV70」が有力視されている。

Santa FeのEREVとGV70のEREVが同じパワートレインを採用するかどうかは、現時点では明らかになっていない。ただ、報道によれば、Genesis側のモデルは総航続距離が640マイル(約1030km)となり、Santa Feをやや上回る見通しだ。

生産も米国を軸に進める。Santa FeのEREVは米国で生産する計画で、既存のガソリン車と通常のハイブリッド車を手がけるアラバマ州の組立ラインが有力とされる。一方、GV70は現在、蔚山で生産している。

今回の方針は、Hyundai Motorの米国における電動化戦略全体の見直しとも連動する。同社は2030年までに米国でハイブリッド車の新モデルを10車種追加し、ハイブリッド車が全販売の半分を占める体制を目指す方針を示している。北米工場の生産能力についても、2030年までに50万台分を上積みする計画だ。

競合各社も同様の方向に動いている。Stellantisは「Jeep Grand Wagoneer」を皮切りに、「Ram 1500」向けのEREVピックアップトラックまで展開を広げる計画とされる。

またFordは、生産を終えたとされる「F-150 Lightning」に代わるEREVトラックを開発中と報じられた。Volkswagenの新事業部Scoutも、「Traveler」SUVと「Terra」ピックアップトラックでEREVの採用を検討しており、予約動向はプラグイン仕様への関心の強さを示していると説明した。

Hyundai MotorはEREV拡大と並行し、北米向け車種の拡充も進めている。ピックアップトラックやボディ・オン・フレームSUVの開発も進めているとされ、今年のニューヨーク・オートショーで公開した「Boulder」コンセプトもその一環とみられる。

背景には、Ford「Bronco」が販売面で成果を上げ、他の完成車メーカーも同市場への参入を狙っていることがあるという。

Hyundai MotorのEREV拡大は、純電気自動車(BEV)と従来型ハイブリッド車の中間需要を取り込む狙いが大きい。充電インフラや長距離移動への不安がなお残る米国市場で、Santa FeとGenesisを軸に電動化ラインアップを広げる構えだ。

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