任天堂の「Virtual Boy」が約30年ぶりに再び注目を集めている。1995年に日本と北米で発売された同機は、独特の操作性やソフト不足から販売が伸び悩み、約77万台で終わった短命ハードとして知られる。2026年2月には「Nintendo Switch Online + 追加パック」に追加された。
米ITメディアのEngadgetが8月30日(現地時間)に報じた。Virtual Boyは、据え置き型や携帯型のゲーム機とは異なり、本体をテーブル上のスタンドに載せ、双眼鏡のようなビューファインダーをのぞき込んで遊ぶ独特の設計を採用していた。左右の目に異なる映像を表示する立体3D技術が特徴だった。
ただ、実際の使い勝手には課題が多かった。長時間、前かがみの姿勢を取る必要があり、表示も黒地に赤のグラフィックに限られていた。立体表示によって、眼精疲労や頭痛、乗り物酔いに似た症状を訴えるユーザーも少なくなかった。このため任天堂は、約15分ごとに休憩を促す機能を搭載した。
ソフトの少なさも普及の妨げとなった。「Mario's Tennis」「Teleroboxer」「Virtual Boy Wario Land」などは投入されたものの、「Zelda」「Metroid」「Kirby」といった主力シリーズはほぼ投入されなかった。タイトルの多くも短時間で遊べるシンプルな内容で、新技術のデモに近いとの見方もあった。
Virtual Boyは1995年に日本と北米で発売されたが、欧州では正式に販売されなかった。任天堂が1996年6月に公表した販売台数は約77万台だった。最終的にWii Uが1356万台、GameCubeが2174万台を記録したことと比べても、低迷ぶりは際立つ。
そうしたVirtual Boyが、2026年2月に「Nintendo Switch Online + 追加パック」の配信ラインアップに加わった。これにより、Nintendo SwitchとNintendo Switch 2で過去のタイトルを遊べるようになった。ただし、立体映像を再現するには専用アクセサリーが必要だという。
先進的な発想を持ちながら、ハードの扱いづらさとソフト不足が重なり、Virtual Boyは任天堂の歴史の中でも特に短命なハードとして残った。一方で、当時は受け入れられなかった実験的なゲーム機を30年ぶりに体験できる点から、ゲーム史的な価値に改めて関心が集まっている。