政府は、国家研究開発(R&D)課題の評価制度を、挑戦的な研究の成果を適切に評価する仕組みへ見直す。研究の進捗に応じて目標を変更できる「ムービングターゲット(Moving Target)」制度も、来年から全面導入する。
科学技術情報通信部は8月31日、こうした内容を盛り込んだ「2026年度 国家研究開発 行政制度改善案」を策定し、関係省庁に通知したと発表した。
改善案は、オンライン窓口や現場懇談会などを通じて集めた349件の意見を基に取りまとめた。8月26日には、第8回国家科学技術諮問会議で審議・議決を終えたとしている。
見直しの柱は、R&D課題の評価方式の改編だ。政府は7月、結果偏重の等級制・点数制を廃止しており、10月までに新たな評価体系を整備する方針だ。
新たな体系では、学術的、技術的、産業的な波及効果が大きい「優秀成果課題」に加え、当初掲げた革新的目標に到達しなくても、試行錯誤の過程で価値あるデータや知見を生み出した「優秀挑戦課題」も優秀課題として選定する。選定課題には、後続研究との連携や政府表彰などのインセンティブを付与する。
一方で、法令違反や協約上の義務不履行、研究不正など、研究遂行の過程に問題がある課題は「不適切課題」に区分する。研究費の返還や参加制限などの制裁措置を科す方針だ。
研究者が研究の進行状況に応じて目標を見直せるムービングターゲット制度も、来年から全面施行する。技術環境の変化などに合わせて研究目標を迅速に変更できるよう、関連手続きも簡素化する。
制度運用に当たっては、承認の可否を判断するための省庁横断ガイドラインをネガティブ方式で整備する方針だ。
研究費執行に関する規制も緩和する。現在は研究施設・設備について、各段階の終了日の2カ月前までに導入を完了する必要があるが、今後は課題全体の終了日を基準に、一定期間前まで導入できるよう基準を見直す。
また、段階終了後に次段階への着手が遅れる場合は、直接費残額を自動で繰り越せるようにする。段階評価結果の確定前でも、必要な人件費は執行可能とする。
研究手当については、個人別上限を新たに設ける。現行制度では、研究手当の総額は人件費の20%以内、研究者1人当たりでは研究手当総額の70%以内で支給できる。今後はこれに加え、個人が受け取れる研究手当を「課題別の本人人件費計上額の100%以内」に制限する。
省庁や会計法人ごとに異なっていた研究費精算基準も標準化する。科学技術情報通信部は、省庁横断の標準精算ガイドと、研究費の認定・不認定事例集を作成し、配布する予定だ。
年次報告書の提出負担も軽減する。1年目または最終年の協約期間が6カ月未満の場合は、当該年度の報告内容を次年度の年次報告書などに統合して処理できるようにする。
このほか、海外機関に送金した研究費の使用実績に対する管理・点検を強化する。海外機関と協約を締結する際には、国内研究機関の知的財産権(IP)など研究成果に関する権利を保護できるよう、研究開発の全周期にわたる支援策も整備する。
科学技術情報通信部は来月から、国家研究開発革新法の施行令など関連法令・規定の改正作業に着手する。改善した制度は2027年から本格施行する計画だ。
パク・インギュ科学技術革新本部長は「研究者が大胆で挑戦的な研究に没頭できる自律的な研究環境の整備が不可欠だ」と述べた。その上で「不要な慣行を刷新し、現場で実感できる支援体制を構築する」と強調した。