電気自動車(EV)の普及が進み、中古EVの流通量が本格的に増えれば、ガソリン車やディーゼル車など内燃機関車の中古価格が急落し、事実上の座礁資産になりかねないとの見方が出ている。こうした変化の先行市場として、ノルウェーと中国が注目されている。
Cleantechnicaによると、ノルウェーでは2025年の新車乗用車販売に占めるバッテリー式電気自動車(BEV)の比率が95.9%に達した。2026年7月には97.6%まで上昇している。
一方、保有車両全体に占めるEV比率は2026年半ば時点で34.6%にとどまり、走行車両の60%以上は依然として内燃機関車だ。新車市場の急速な電動化が、中古車市場全体の構造変化に直結するまでには時間がかかることを示している。
中国では、変化のスピードがさらに速い。2026年1~4月の中古新エネルギー車の取引台数は54万7900台となり、前年同期比29%増加した。再販価格も約30%上昇した。
その一方で、一部の中古ガソリン車は売れ行きが鈍り、1カ月で価格が1割近く下落したケースも出ている。1台当たり3万元の損失が生じた例もあった。3年落ちの内燃機関車の残存価値は約46%まで低下した。
ただ、中国の中古車市場全体に占める新エネルギー車の比率は8.57%にとどまる。同メディアは、中古EVの供給が今後さらに増えれば、内燃機関車への価格下落圧力が一段と強まる可能性があると分析している。
焦点となるのは総保有コスト(TCO)だ。年間1万2000マイル(約1万9312km)走行し、燃費が25mpg(約10.6km/L)のガソリン車を前提とすると、ガソリン価格が1ガロン当たり4ドルの場合、燃料費だけで年間1920ドル、月160ドルかかる計算になる。
これに老朽車の整備費や修理費を加えると、月間コストは約300ドルに達し得るという。これに対し、自宅充電を前提としたEVは、電気料金と維持費を合わせても月約100ドルにとどまるとの試算が示された。
米国では転換ペースが大幅に遅い。2026年7月時点で、累計新車販売に占めるBEV比率は5.9%にとどまった。平均車齢も12.8年と高く、走行車両は約2億8900万台に上るため、中古車市場の構造が短期間で大きく変わる可能性は低い。
内燃機関車の価値が大きく崩れる時期は、EVの新車販売そのものよりも、中古EVの供給がどの程度の速さで増えるか、さらに維持費の差が消費者の中古車選びにどこまで反映されるかに左右されるとみられる。