Web3プロジェクト「Numa Lunah」の共同創業者が、AnthropicのAI「Claude」が提示したリンクを通じて偽サイトに誘導され、インフォスティーラーに感染していたことが分かった。さらに、AI設定ファイル「SKILL.md」が改ざんされており、OSを再インストールした後も再感染する仕組みが確認された。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが30日付で報じた。
発端は、作業環境の構築中にClaudeへ音声文字起こしアプリのダウンロードリンクを尋ねたことだった。Claudeは公式サイトを装ったフィッシングURLを提示し、共同創業者はそのリンク先からソフトを入手したという。
その結果、業務用ノートPCには、パスワードや取引所アカウントの認証情報、ホットウォレットの秘密鍵を窃取するインフォスティーラーが仕込まれた。
Numa Lunahは侵害の兆候を早い段階で把握し、感染端末を直ちに隔離したうえで、OSを再インストールした。ところがその後、バックアップの復元時に、個人用のAIスタイルガイドとして使っていた「SKILL.md」が改ざんされていたことが判明した。
攻撃者はこのテキストファイルの構造そのものを書き換えていた。改ざん済みの設定プロファイルをクリーンな別のPCへ移すと、攻撃者側のサーバーに接続し、インフォスティーラーを再びダウンロードしてアカウント情報の収集を再開するよう設計されていたという。
今回の事例は、Web3開発者のセキュリティ運用に新たな警告を突きつけた形だ。.mdや.json形式のAI設定ファイルは、もはや無害なテキストとして扱うべきではなく、実行コードに準じて管理すべきだとの指摘が出ている。
悪性コードが一般的なソフトのインストール経路だけでなく、AIが読み込む文書型の設定ファイル経由でも再び有効化され得る点が、この攻撃の核心とされる。
Near Protocolの共同創業者、イリヤ・ポロスキン氏もこの事案に言及した。同氏は、自律型AIエージェントのインフラを安全に保護する重要性を訴えたうえで、最近は「コンテキスト・ポイズニング(context poisoning)」を用いた攻撃キャンペーンが増えていると指摘した。
今回の攻撃は、ローカル端末が主要な標的になりやすいWeb3開発者にとって、直接的なリスクを示している。取引所の認証情報とホットウォレットの秘密鍵が、同じ作業環境内に共存しているケースが少なくないためだ。
設定の復元や作業環境の移行時には、AI関連の文書ファイルを無条件に信用せず、構造の改変有無や外部サーバへの接続可能性を事前に確認することが欠かせない。今回の事例は、その必要性を改めて浮き彫りにした。