Rippleの最高法務責任者(CLO)であるスチュアート・アルデロティ氏は8月30日、米議会で審議が続く「Clarity法案」について、雇用や経済成長を後押しする法案だとして早期成立を訴えた。米暗号資産業界の団体は、同産業が2026年までに米国内で23万2000人の雇用を生み、550億ドル超の経済効果をもたらすと試算している。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、アルデロティ氏は同日、X(旧Twitter)に「Clarity法案への賛成は、雇用と経済成長への賛成でもある」と投稿した。
発言の背景には、米国の暗号資産産業の雇用効果をまとめた最新の調査がある。米国暗号資産協会(NCA)とPragmatic Policy Groupが共同で公表した報告書では、暗号資産産業が2026年までに米国内で23万2000人の雇用を創出できると推計した。
このうち、RippleやCoinbaseなど暗号資産関連企業による直接雇用は約3万4000人。さらに、法律事務所やクラウドサービス企業、会計事務所など、業界を支えるサプライヤーや請負事業者を通じて約7万5000人の雇用が生まれるとした。
経済面での波及効果も大きい。報告書は、暗号資産産業が米国経済にもたらす効果を550億ドル超、労働者所得を約310億ドルと見積もった。
州別では、最多がカリフォルニア州の約5万7600人で、ニューヨーク州が5万3800人、テキサス州が2万6500人で続いた。ワシントン州は1万5100人、ノースカロライナ州は9500人、コロラド州は5800人とした。
賃金水準も全米平均を大きく上回る。報告書の対象職種の平均報酬は約13万3000ドルで、米国の賃金中央値である6万4000ドルを大幅に上回った。暗号資産産業が単なる投資市場にとどまらず、高賃金の雇用基盤として機能していることを示す内容といえる。
一方、Clarity法案はなお成立には至っていない。同法案は2025年7月に米下院で賛成294、反対134で可決され、上院に送られた。上院銀行委員会も今年5月、超党派で15対9の採決により審議を進め、7月には上院議員らが修正案を示した。
ただ、その後の日程は後ずれしている。ジョン・スーン共和党上院院内総務が当初予定されていた採決を8月の休会後に先送りしたためで、終結投票は現在9月15日に予定されている。ホワイトハウス関係者は9月中も法案審議が続く可能性があるとみているが、現時点では暗号資産業界にとって追い風の環境とは言い切れないとの見方も出ている。
こうしたなか、アルデロティ氏はClarity法案の意義を規制の明確化にとどめず、雇用と成長の観点から訴えた格好だ。法案が成立すれば、米国内の暗号資産企業や関連産業で採用拡大への期待が高まる可能性があるが、今後の行方は9月の上院採決に左右されそうだ。