写真=イ・ビョンチョル氏(Hanwha Investment & Securities デジタルアセット(DA)プラットフォームチーム長)

Hanwha Investment & Securitiesが、デジタル資産の制度整備を見据えた事業展開を本格化している。国内ではトークン証券、海外では実物資産トークン化(RWA)を軸に事業を並行して進め、発行・引受を起点に案件発掘から販売、ウォレット、カストディまでをつなぐプラットフォームの構築を目指す。

イ・ビョンチョル氏(DAプラットフォームチーム長)はDigitalTodayの取材に対し、グローバルの専門企業と連携しながら、デジタル資産の流通に必要な機能を一体でつなぐプラットフォーム型の事業構造を整備する方針を明らかにした。

◆既存の証券業務を拡張、金融商品をトークン化。

同社が構想するデジタル資産事業は、既存の証券業務と切り離した新規事業ではない。ファンドや債券などの金融投資商品をトークン化し、ブロックチェーン上で発行・募集し、投資家が取引できる仕組みとして展開する考えだ。

イ氏は、発行、募集、売買といった一連の流れは、証券会社が担う主幹事、引受、発行、仲介といった既存業務と大きく変わらないと説明する。そのうえで、商品がデジタル化されることで投資対象の裾野が広がり、グローバルな接続性も高まる点が大きな違いになるとした。

◆小口化商品より、まずは機関投資家向けRWAを優先

同社は、小口化した不動産や美術品の販売型商品よりも、これまで個人投資家がアクセスしにくかった機関投資家向け商品を、まずはプロ投資家向けに提供する方針だ。その後は不動産や非上場企業などへ対象資産を広げ、収益性やリスク選好に応じたポートフォリオの組成につなげる計画という。

イ氏は、海外の先行事例について、従来は接点が乏しかった、あるいは投資自体が難しかった資産へのアクセスを可能にする点に重点が置かれていると語った。

◆ブロックチェーンで決済・照合を効率化

ブロックチェーンを活用する狙いとしては、金融機関における決済や照合作業(リコンシリエーション)の効率化を挙げる。従来は取引相手の履行状況を確認し、入出金データと帳簿を個別に照合する手続きが必要だった。

取引や保有に関する情報を共有台帳に記録すれば、確認工程を減らし、エラー発生の可能性も抑えられる。このため同社は、個人向けよりも機関投資家向けや大口取引で初期需要が大きいとみている。国境をまたぐ商品発行や投資の接続でも優位性があるとしている。

一方でイ氏は、ブロックチェーンがバックオフィス業務に大きな変化をもたらす可能性がある一方、第三者や仲介機能が不要になるわけではないと強調した。

海外プラットフォームについては、各国の許認可や市場環境に応じて、顧客層、投資商品、サービス範囲を段階的に拡大していく方針という。

◆収益化は発行・引受から、カストディは提携で対応

初期の収益モデルでは、トークン化商品の発行と引受業務に重点を置く。ウォレットや秘密鍵管理、カストディについては、関連する許認可や規制を踏まえ、専門パートナー企業と連携して対応する。外部運用会社のファンドや運用戦略をトークン化し、募集・販売を通じて投資家を集める考えだ。

長期的には投資単位を引き下げ、一般投資家でも機関投資家向け商品にアクセスできるようにする方針だ。その先には、個々の収益・リスク選好に応じた運用を支援するデジタル資産管理サービスへの拡張も視野に入れる。

◆出資先の強みをプラットフォーム構築に活用

グローバルプラットフォームの構築では、これまで出資してきたデジタル資産関連企業との連携を進める。Xangleとはオンチェーンデータやリサーチ、プラットフォームの構造、規制対応を協議しており、CRESUSとは海外プラットフォーム基盤とウォレット・秘密鍵管理領域で協業する。

Securitizeを通じてプラットフォーム上で販売するトークン化商品の発掘を進めるほか、Digital AssetのCanton Networkでは初の案件組成を進める。

Canton Networkは、取引当事者間で必要な情報だけを共有しながら、異なる金融機関の資産やデータを接続できるよう設計された金融特化型ブロックチェーン。Hanwha Investment & Securitiesは7月、Digital Assetに約300億ウォン(約33億円)を出資し、Canton Networkのエコシステムに参画した。

Dunamuとは、伝統的な金融とデジタル資産の融合や、ブロックチェーン基盤での協業案を検討している。Hanwha Investment & Securitiesは6月、Kakao Investmentが保有していたDunamu株136万1050株(持ち分3.90%)を約5978億ウォンで追加取得した。

これにより保有株数は343万500株に増え、持ち分比率は5.94%から9.84%に上昇。Dunamuの第3位株主となった。

◆国内法制の遅れも視野に、海外展開を同時に推進

同社は、国内のデジタル資産制度整備が遅れる可能性も織り込み、グローバルプラットフォーム事業を並行して進める。法制度や許認可が整うまでは国内で関連サービスを始めにくいため、国内は制度の進展に合わせて対応しつつ、海外事業の準備は継続する考えだ。

投資家保護については、国内のトークン証券事業とグローバルプラットフォームを分けて対応する。国内のトークン証券では、既存の証券業務で運用しているコンプライアンス監視や金融消費者保護の体制を適用する。加えて、電子登録機関による総量管理や、口座管理機関・カストディパートナーによる技術的な保護措置も活用する方針だ。

イ氏は、Hanwha Investment & Securitiesの海外ネットワークと、グローバル専門企業が持つ商品・技術を結び付けることで、ブロックチェーンの強みであるクロスボーダー投資を拡大していきたいと述べた。

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