LG HelloVisionのSNS向けショート動画を担当する3人。左からキム・ジャヨン先任、チョ・ジウン責任、キム・ウンヨン先任。写真=LG HelloVision

LG HelloVisionが、社員自ら出演するショート動画を前面に打ち出し、公式SNSの強化を進めている。最新のミームを取り入れた動画施策が奏功し、Instagramのフォロワーは12倍超に拡大。若年層への接点づくりに加え、顧客の問い合わせ導線としても機能し始めた。

同社のSNSでは、社員がかつらをかぶって商品を紹介したり、方言を交えて演じたり、流行のダンスを取り入れたりする。出演しているのは専門俳優や外部インフルエンサーではなく、いずれもLG HelloVisionの社員だ。3人はこの取り組みについて、「誰かに指示されて始めた仕事ではない」と口をそろえる。

公式SNSを担う3人は、従業員を意味するEmployeeとInfluencerを組み合わせた造語「インプロイエンサー」と呼ばれる。本社でSNS運用を担うチョ・ジウン責任、キム・ウンヨン先任に加え、慶南東部営業チームで顧客対応を担当するキム・ジャヨン先任が、企画から出演、制作まで手がけている。

会社員の日常に共感するネタや最新のミーム、さらには、かつら姿の“地域のおばさん”キャラクターまで、社員が自ら作ったコンテンツを継続的に投入した結果、アカウントの存在感は一気に高まった。

LG HelloVisionは従来、SNSコンテンツに専門俳優を起用するのが一般的だった。ただ、外部出演者では会社や商品への理解を深めるのに時間がかかり、求める雰囲気や状況に合わせた表現を引き出しにくいという課題があった。

チョ・ジウン責任は「会社や商品・サービスへの理解が十分でないと、現場では依頼した内容以上のものが出てこない。物足りなさを感じることが多く、それなら自分たちが出るのもいいのではないかと思った」と話した。

出演は段階的に始まった。アナウンサー経験のあるチョ・ジウン責任はカメラの前に立つことに慣れており、デザイン業務の経験があるキム・ウンヨン先任は、画面の見せ方に強みがあった。キム・ジャヨン先任は、緊張しにくい性格が持ち味になったという。

こうして生まれたのが、同社のショート動画コンテンツ「ショートV」だ。テレビ番組「無限挑戦」のパロディや最新ミームをInstagramで展開し、看板キャラクターには「ヨンジャさん」を据えた。これはキム・ジャヨン先任の名前をもじった愛称で、慶南地方の方言と、たくましい“おばさん像”を重ねた設定だ。

反響は想定以上だった。キム・ジャヨン先任によると、顧客対応の場面で「Instagramに出ていたヨンジャさんですか」と声をかけられることもあり、相談がスムーズに進むケースもあったという。「親しみを持ってもらえると、自然と信頼感にもつながった」と振り返る。

ショート動画ではスピード感が重要になる一方、企業の公式アカウントとしては表現の正確性や社内確認、企業イメージとの整合も欠かせない。3人は随時意見を交わしながら、流行のミームと自社商品をどう結びつけるかを詰めている。

当初は週2回の投稿を目標にしていたが、企画、撮影、編集を通常業務と並行して進めるには限界があり、現在は「質の高い1本」に軸足を移した。投稿は主に毎週金曜日。企画が固まれば撮影自体は短時間で終わり、その場で流行のダンスを確認してすぐ再現することもあるという。

チョ・ジウン責任は「今はトレンドを素早く取り込みながら、その中に自分たちのストーリーをどう入れ込むかに集中している。露出を最大化したい」と語った。

もっとも、同社が当初からショート動画に絞っていたわけではない。昨年のSNS改編時に顧客の声を聞いたところ、社員の日常や働く様子、商品ができるまでの過程に対する関心が想定以上に高かった。そこでInstagram向けの漫画や情報画像、イベント紹介なども試した結果、最も反応が良かったのがショート動画だった。

キム・ウンヨン先任は「最初は顧客が何を好むのか分からず、さまざまな形式を試しながら始めた。今年はショート動画を中心に制作している」と話した。

社員が前面に出ることで、SNSは問い合わせ窓口としての役割も担い始めた。Instagramのダイレクトメッセージには「家のテレビが映らない」といった相談も寄せられる。社内からの応援や企画のアイデア提供も増えているという。

3人は、この取り組みが「会社にやらされている仕事ではない」と強調する。公式SNSを成長させ、会社の認知を広げたいという思いが原動力だ。キム・ウンヨン先任は「言われてやっていたら、ここまで続かなかったと思う」と語った。

実際、公式Instagramのフォロワーは昨年1月の856人から、今年8月時点で1万746人へ増加した。ショート動画の本格投入後は、フォロワー層も35〜44歳中心から18〜24歳中心へと若返った。若年層の流入により新規顧客基盤の拡大につながり、直営モールへのリンク流入も125倍に増えた。年内のフォロワー目標は1万5000人としている。

同社が重視するのは再生数だけではない。「広告だと感じさせず、最後まで見てもらえるコンテンツ」を掲げ、Instagramに加えて自社YouTubeにも動画を投稿している。

キム・ウンヨン先任は「企業アカウントのコンテンツは流されやすい。『ここはコンテンツ作りがうまい』と思ってもらえるようにしたい」と述べた。

今後は企画の幅も広げる考えだ。キム・ジャヨン先任は、顧客相談の現場で起きる出来事を題材にした「ヨンジャの通信時代」のようなシリーズに加え、家族など身近なキャラクターにも展開したいとしている。「人の温度感が伝わるコンテンツを作ってみたい」と話した。

地域性を生かした企画も視野に入れる。チョ・ジウン責任は「釜山なら釜山、江原道なら江原道というように、その地域ならではの感性に触れられるコンテンツも作ってみたい」と語った。

社員が自ら前に出る発信手法は、いまやLG HelloVisionのSNSの特徴になっている。広告色を抑えながら、より面白く、顧客との距離が近いコンテンツを届ける狙いだ。

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