暗号資産相場が急騰した先週、主要保有企業2社の資金配分は対照的だった。Strategyはビットコインを追加購入せず、資金調達で確保した現金を積み上げた一方、BitMine Immersion Technologiesはイーサリアムの買い増しを続けた。
米ブロックチェーンメディアのCryptoSlateが24日、こうした動きを報じた。ビットコインは先週20%超上昇して8万ドルに迫り、イーサリアムも約30%上昇。2025年5月以降で最も強い週間上昇率となった。
背景には、米国債利回りの低下に加え、米国市場での暗号資産に対する楽観ムードの回復、ショートポジションの巻き戻しがある。相場全体が強く反発する中、ETFには26億ドルが流入した。
こうした上昇局面で、企業の財務戦略の違いも鮮明になった。ビットコイン最大の企業保有者であるStrategyは、相場上昇を資金調達の機会として活用した。
Strategyは17〜23日にMSTR株1826万株を売却し、純収益として約20億1000万ドルを確保した。ただ、この資金をビットコインの追加購入には充てなかった。
内訳を見ると、3億ドルを既存のドル建て準備金口座に積み増し、1億3640万ドルをSTRC優先株143万株の買い戻しに投じた。残る大半は新設した現金口座に移し、23日時点のドル流動性は66億9000万ドルに拡大した。内訳は準備金が51億ドル、新設口座が15億9000万ドルだった。
2つの口座は用途も異なる。準備金は主に優先株の配当や利払いに充て、新設した現金はビットコイン購入に加え、MSTR株や優先株の自社株買い、転換社債の償還、その他の財務取引に活用できるとしている。
Strategyは、追加の流動性を確保したことで、ビットコインと自社証券の「異常な価格乖離」が生じる局面にも、より機動的に対応できると説明した。
今回の判断で注目されるのは、ビットコイン価格が同社の平均取得単価である7万5385ドルを再び上回る局面でも、買い増しに動かなかった点だ。Strategyは現在、84万447BTCを約633億6000万ドルで取得し、保有している。
先週のように資本市場の環境が追い風だったにもかかわらず、保有量は増やさなかった。優先株の償還と現金の積み増しを並行し、ビットコイン中心だった資金配分を、より広い資本配分へとシフトさせた格好だ。
なお、Strategyは追加の優先株買いに5億1660万ドル、MSTR株の自社株買いに別途10億ドルの枠を残している。
対照的に、イーサリアム最大の企業保有者であるBitMine Immersion Technologiesは、上昇局面でも買い増しを継続した。先週は3万2447ETHを追加購入し、23日時点の保有量を585万ETHまで増やした。
これはイーサリアム流通量の約4.8%に相当し、全ETHの5%を確保する同社目標に近い水準となる。
BitMineは2025年6月にイーサリアム財務戦略を開始して以降、毎週買い増しを続けている。今回も急騰を買い止めのシグナルとは見なさなかった。
トム・リー会長は今回の動きについて、より大きな上昇トレンドの一部との見方を示した。BitMineによると、2021年以降、同様の週間上昇は2度あり、いずれもその後数カ月にわたり一段高につながったという。
BitMineは保有するイーサリアムの大半をステーキングに回し、収益も確保している。現在は約507万ETHと、保有分の約87%がステーキングされている。
トム・リー氏は、年率換算のステーキング収益が現在約3億3000万ドルになるとの見通しを明らかにした。
この点はStrategyとの違いをさらに際立たせる。ビットコインは保有自体では収益を生まないが、イーサリアムはステーキングを通じてキャッシュフローを得られるためだ。
優先株や負債に伴う支払い負担から、ドル流動性を厚く保つ必要があるStrategyに対し、BitMineは暗号資産を軸とした積極的なバランスシートを維持している。BitMineの現金および市場性証券は3億0800万ドルにとどまった。
先週の急騰局面は、両社の優先順位の違いを改めて浮き彫りにした。Strategyは強い相場の中で現金を積み増して次の機会に備え、BitMineは同じ相場を追い風にイーサリアム保有目標へ一段と近づいた。