暗号資産関連のイメージ(写真=Shutterstock)

金融庁は、円建てステーブルコインの取引に伴う税務手続きの簡素化に向け、制度見直しの検討に入った。対象は信託型ステーブルコインで、実現すれば、これまで使いにくかった100万円超の高額決済にも活用が広がる可能性がある。

ブロックチェーンメディアのCoinPostが25日付で報じたところによると、金融庁はこうした内容を税制改正要望に盛り込む方針だ。

焦点となるのは、信託型ステーブルコインの流通を妨げてきた税務手続きの負担だ。日本では、ステーブルコインの保有者が変わるたびに、所有者情報を記載した書類を税務署に提出する必要があるとされている。

このため、自動車や不動産など高額商品の決済にステーブルコインを使いたい需要があっても、実務上の負担が大きく、利用は広がりにくかった。

報道によれば、金融庁は相続税法と所得税法の見直しを通じ、こうした書類提出を不要とする方向で検討を進める。年末に取りまとめられる税制改正大綱をにらみ、2027年度以降の制度化を目指す。

背景には、円建てステーブルコインを巡る制度差もある。JPYCの資金移動型では、発行・償還に1回当たり100万円の上限が設けられている。一方、JPYSCの信託型モデルには、発行・償還そのものに100万円の上限はない。

市場で「100万円上限」の扱いに関心が集まりやすいのは、こうした制度の違いがあるためだ。

もっとも、今回の報道の主眼は、資金移動型の上限見直しではなく、信託型の取引手続きの簡素化にある。金融庁は、信託型ステーブルコインの流通を円滑にするため、税務面の負担軽減を優先課題としているもようだ。

JPYCのオカベ・ノリタカ代表は24日、X(旧Twitter)で今回の報道に言及し、「JPYCの100万円制限が緩和されるのは予定された流れだ」との個人的な見方を示した。

さらに、「信託型ステーブルコインには事実上の譲渡制限がかかっており、公正な競争になり得ない」とも投稿した。制度上は認められていても、実際には使いにくい状況が続いているとの問題意識を示した発言とみられる。

市場では、信託型と資金移動型の双方で、異なる形の規制が流通の制約になってきたとの見方がある。信託型は法的に発行・償還の上限がなくても、税務処理の負担が実際の取引拡大を妨げてきたというわけだ。

このため、税制改正要望が実際に反映されれば、円建てステーブルコインの活用領域は高額決済へと広がる可能性がある。

JPYSCを取り扱うSBI VC Tradeは公式サイトで、監督当局の確認と関連法令、税務実務の整理が完了し次第、JPYSCの出庫に迅速に対応する方針を案内している。制度整備が、サービス開始と流通拡大の前提条件になっていることを示している。

今後の焦点は、金融庁の税制改正要望の最終文案と、税制改正大綱に実際に反映されるかどうかだ。信託型の手続き簡素化が制度改正につながるのか、さらに資金移動型に適用される1回当たり100万円上限の見直し議論に波及するのかが、日本のステーブルコイン市場の次の注目点となる。

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