24日の記者懇談会で、大学運営のビジョンと重点課題を説明するKAISTのペ・チュンシク総長。写真=KAIST提供

KAIST(韓国科学技術院)のペ・チュンシク総長は24日、教育・研究・行政・インフラをAIで再設計する「AIキャンパス」構想を発表した。全科目でAI活用の仕組みを整備するほか、入学直後からの起業教育、企業と連携した「AI自律ラボ」の拡充、行政手続きのワンストップ化などを進め、大学運営全体の刷新を目指す。

就任記者懇談会で、ペ総長は「強固な基盤を持つグローバル革新先導大学」というビジョンの実現に向けた重点課題を示した。

ペ総長は10日の就任式で、(1)「みんなのAI(Beyond AI)」、(2)「革新的研究・起業(Beyond Laboratory)」、(3)「効率的で開かれた大学(Beyond Barrier)」、(4)「環境配慮と持続可能性(Beyond Carbon)」、(5)「世界へ、未来へ(Beyond KAIST)」の5大戦略を打ち出していた。

最終目標は、教育、研究、行政、インフラをAIで有機的につなぐ「AIキャンパス」の実現だという。ペ総長は「就任時に示したビジョンがKAISTの進むべき方向だとすれば、今はそれを構成員が実感できる変化へと落とし込む段階だ」と述べ、「実行可能な課題からスピード感を持って進める」と強調した。

◆全科目でAI活用を制度化

「Beyond AI」では、AIを一部の学科や専攻者だけの技術ではなく、すべての学生と研究者が備えるべき共通基盤として位置付ける。数学、自然科学、人文・社会、芸術などの基礎教育を強化しながら、各専攻でAI応用を組み込んだ教育課程を構築する。

AI活用の水準に応じて教育課程を3段階に分け、全科目でAI活用の体系を整える方針だ。各科目にAI活用レベルを設定し、「自立」「拡張」「主導」の3領域で整理する。ペ総長は「講義体系の抜本的な見直しが必要だ」としたうえで、「人文社会や基礎科学ではAIに過度に依存せず、教員とともに書き、考え、発表する自立型教育を目指す」と説明した。

◆企業連携ラボと起業教育を拡充

「Beyond Laboratory」では、AIの基盤技術やソブリンAIに加え、自動運転、スマートファクトリー、ロボティクス、デジタルツインなど、フィジカルAI分野の研究を拡大する。AIとエネルギー、量子、核融合、バイオを組み合わせた融合研究も強化する。

ペ総長は「国家戦略技術や未来技術について、産業界とともに主導的な研究を進めていく」と述べた。

KAISTは、1年次前期からアントレプレナーシップと起業能力を育成できる教育モデルも導入する。「起業教育革新委員会」を設置し、企業と連携して「AI自律ラボ」を構築する。AI自律ラボは、AIと自動化技術を活用して実験の設計・実行やデータ分析などの研究プロセスを効率化し、研究開発のスピードと生産性を高めることを狙う。

ペ総長は「研究室は産業と社会の変化を生み出す革新の出発点でなければならない」と指摘したうえで、「入学段階からの起業教育を通じ、学生がアイデアと技術を社会的価値へとつなげる力を育てたい」と語った。KAISTは、起業活動の単位認定や、起業実習報告を卒業論文の代替として認める取り組みも進めている。

◆行政手続きをワンストップ化

教員と学生が教育・研究に専念できるよう、大学行政の見直しにも着手する。「Beyond Barrier」戦略の一環として、AI基盤のデジタル・ワンストップ行政システムを構築し、反復業務の自動化と行政手続きの簡素化を進める。不要な内部規制も見直し、AIを活用した行政革新に参加する職員にはインセンティブを付与する。

学科間の履修障壁を下げ、共同指導教員制度を拡大するなど、学際融合を妨げる制度にも手を入れる。昇進審査で過度な書類提出を求めるといった不要な人事手続きは可能な限り簡素化し、分野ごとの評価基準に基づく効率的な人事運営を進める方針だ。

ペ総長は「行政の目的は管理そのものではなく、学生と教員が教育と研究に専念できるよう支えることにある」と述べ、「構成員の時間を奪う規制や手続きを積極的に洗い出し、改善していく」とした。

◆持続可能なキャンパスと国際化を推進

気候・エネルギー分野では、KAISTが開発した技術をキャンパスに直接適用する。AIとエネルギー技術を活用してエネルギー使用を効率的に管理するほか、歩行者中心の動線設計や研究・教育空間の再配置を進める。安全性、利便性、緑地保全をあわせて考慮した空間改革を進める考えだ。

国際化戦略では、海外人材と研究機関をKAISTに呼び込む取り組みを強化する。単なる国際交流にとどまらず、優秀な海外人材と研究機関が集まる環境の整備を目指す。外国人学生の比率を大幅に引き上げるほか、海外大学とのダブルディグリー、交換留学、研究者交流も拡充する。

学位論文審査では海外の有力研究者の参加を増やし、学部・研究組織ごとのグローバル諮問団も運営する。国際共同研究へのインセンティブも強化する。国内では、大徳研究開発特区をはじめとする研究拠点や地域を、戦略技術を軸とするクラスターとして連結する方針だ。学生、教員、職員、同窓生が参加する「KAISTコネクト」も推進する。

KAISTはこれらの課題を、2031年の開校60周年に向けた中長期の発展戦略へとつなげる。2030年までを任期とするペ総長は、60周年に向けた基盤づくりに総力を挙げる考えを示した。

ペ総長は「世界最高の大学を追いかけるのではなく、新しい大学の基準をつくることが目標だ」と述べ、「AI時代の教育・研究、技術起業、大学運営、持続可能なキャンパス、グローバル連携の各分野で新たなモデルを打ち立て、韓国と世界に広げていく」と強調した。

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