Xiaomiは24日、独自開発チップ「XRING」の新製品3モデルを発表した。3ナノプロセスのスマートフォン向けSoC「XRING O3」に加え、AIアクセラレーター「XRING O100」、自動運転向け半導体「XRING D100」も公開し、自社半導体の適用範囲をスマートフォンから車載、ロボット分野へ広げる方針を示した。
Cryptopolitanによると、主力製品の「XRING O3」は、9月に中国で発売予定の「Xiaomi18 Fold」に初搭載される見通しだ。Xiaomiはこれまで、モバイル向けチップの多くをQualcommとMediaTekに依存してきたが、今回の発表はその一部を自社設計品へ切り替える動きを具体化した格好だ。
XRING O3は、TSMCの3ナノプロセスで製造するスマートフォン向けSoC。10コアCPUと16コアGPUを搭載し、同社は前世代比でCPU性能が60%、グラフィックス性能が85%向上し、電力効率も64%改善したとしている。メモリはLPDDR6に対応し、最大113.8GB/秒の帯域幅を実現すると説明した。
AI性能も強化した。XRING O3のAI演算性能は約200TOPSで、ニューラルネットワークエンジンの処理速度は前世代比45%向上したという。開発期間は459日で、9月に中国で発売する「Xiaomi18 Fold」と「Pad 9 Pro Max」に先行採用する予定だ。
同社は社内テストの結果として、XRING O3のAnTuTuスコアが522万8014点に達し、モバイルSoCとして初めて500万点を超えたと主張した。ただし、この数値は同社が公表した結果に基づく。
あわせて公開したAIアクセラレーター「XRING O100」は6ナノプロセスを採用した。プロセッサとメモリを積層する構造により、最大1.22TB/秒の帯域幅を実現したとしている。AI処理時の遅延低減を重視し、スマートフォンや車両、ロボット内部でAIモデルを動かす用途を想定する。商用化は2027年としている。
自動運転向け半導体「XRING D100」も披露した。Xiaomiは同製品を、中国初の3ナノプロセス採用の高性能スマート走行プロセッサと位置付ける。20コアCPUと16コアNPUを備え、最大160GBのメモリに対応。最大2000億パラメータ規模の大規模AIモデルを動作させられるとしている。検証は完了しており、量産車向けバージョンは2027年の投入を予定する。一方で、TOPS性能や最初の搭載車種は明らかにしていない。
Xiaomiの自社シリコン戦略は今回が初めてではない。2021年に半導体開発プログラムを再始動して以降、累計投資額は210億元を超え、現在は約3000人のエンジニアがチップ開発に携わっている。従来の「XRING O1」搭載機器の累計出荷台数は100万台を超えたが、このうちスマートフォンは2025年5月以降の販売が約15万台にとどまる。新型フォルダブル端末の販売目標は20万~30万台とした。
今後も同社は、大半のスマートフォンでQualcommとMediaTekのチップを継続採用する方針だ。一方で、一部の中核製品では自社設計半導体の採用を拡大し、サプライチェーンへの依存低減と製品差別化を進める考えを示している。
自社チップの確保は、部品サプライヤーとの交渉力向上にもつながる可能性がある。足元ではXiaomiの電気自動車(EV)にNVIDIA製チップが使われているが、今後は自社半導体技術の車載分野への展開により、EVやAI事業での活用余地が広がる可能性がある。
Xiaomiの動きは、中国EV業界で進む半導体内製化の流れとも重なる。NIO、Li Auto、XPeng、BYDなどの主要EVメーカーは、すでに自社の走行用半導体を開発・運用している。ただ、Xiaomiが内製化を拡大するうえで、コスト負担をどこまで吸収できるかは課題となる。同社はEVとAIを含む新規事業で、2026年6月までの3カ月で26億元の営業損失を計上した。
Xiaomiの半導体戦略は、スマートフォン部品の内製化にとどまらず、スマートフォン、AI、車両、ロボットをまたぐ独自の半導体エコシステム構築へと広がっている。今後は、自社チップの実性能や採用範囲の拡大、コスト競争力の確保が戦略の成否を左右しそうだ。