Amazon Web Services(AWS)は、実世界での活用が広がるフィジカルAI分野で、クラウドとエッジをまたぐ運用基盤の整備を進めている。米SiliconANGLEによると、AWSは24日(現地時間)、フィジカルAIシステムを開発する顧客向けに、先月公開したクラウド・エッジ統合ソリューションの概要を示した。
フィジカルAIは、コンテンツ生成やデータ分析にとどまらず、物理環境を認識して判断し、実際の動作まで行うAIを指す。従来の産業オートメーションやロボティクスが、あらかじめ定義された環境での反復作業を得意としてきたのに対し、フィジカルAIはセンサーで周辺環境を把握し、経験を通じて学習しながら変化に対応する方向へ進化している。
AWSは、フィジカルAIの主要課題として、データ、シミュレーション、レイテンシー、導入後の運用を挙げる。ロボットはテキストやコードではなく、物体や表面、照明、幾何構造、摩擦、手の位置、接触力といった物理条件を反映したデータを学習する必要があるためだ。
AWSの協力企業であるKonfigは、20万時間超のロボット行動データを構築し、毎月約2万時間分を追加収集している。AWSとKonfigは、NVIDIA Cosmos-Transfer 2.5の追加学習モデルを活用し、実演データを多様な照明条件や表面条件に展開するマルチビュー拡張パイプラインを構築した。Konfigは、拡張データを追加した結果、成功率が8.3%から75%に上昇したと公表している。
シミュレーションも、フィジカルAIにとって重要な課題の一つだ。実環境で直接学習させる方法は、時間もコストもかかるうえ、安全面での制約も大きい。
このためAWSは、顧客が自社のシミュレーションツールやNVIDIA Isaac Simを利用できるようにし、必要に応じてシミュレーション環境を拡張・縮小できるクラウドインフラとデータサービスを提供している。
導入段階では、クラウドとエッジの役割分担が重要になる。SiliconANGLEによると、大規模な基盤モデルはクラウドで学習する一方、病院の廊下を移動するロボットや生産ラインを点検する機器では、遠隔クラウドの応答を待てない場面も多い。AWSは、現場で得た学習結果をクラウドに戻し、システム全体の性能改善につなげる仕組みが重要だと説明した。
AWSはロボットメーカーではなく、フィジカルAI向け運用スタックの提供者として取り組んでいる。学習段階ではAmazon EC2 GPUインスタンス、Amazon SageMaker、Amazon S3、Amazon FSx for Lustreを提供し、導入段階ではAWS IoT CoreとAWS IoT Greengrassを通じて、接続性、デバイス群管理、エッジ実行環境を支援する。
あわせて、開発環境では環境構成や学習ワークフロー、シミュレーション設定、トラブルシューティングの自動化も進めている。AWSは、フィジカルAIの学習から現場運用までを一貫して支える基盤整備を加速させる構えだ。