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暗号資産分野のベンチャー投資が冷え込む中でも、ステーブルコイン決済スタートアップには引き続き資金が流入している。2026年1〜3月期の暗号資産VC投資は大きく減速したが、投資家の関心はトークン相場や市場心理に左右されやすい企業ではなく、顧客基盤や売上、実際の決済量を持つ事業者に移っている。

Galaxy Researchによると、2026年1〜3月期の暗号資産VC投資額は約40億ドルで、件数は355件だった。前四半期比では投資額が50%、件数が16%それぞれ減少。新規に組成された暗号資産ベンチャーファンドの数も、2020年7〜9月期以来の低水準に落ち込んだ。

ただ、影響は一様ではない。全体の減速は後期ステージの大型ラウンド減少による影響が大きく、シード期やアーリーステージへの投資は続いた。投下資本の57%は後期ステージ企業に集中したという。

暗号資産メディアのWu Blockchainは、投資家がトークン価格や市場ムードに依存する企業よりも、すでに顧客や売上、実際の決済量を持つ企業を選好しているとの見方を示した。その中でも、ステーブルコイン決済スタートアップへの関心が高まっていると分析している。

もっとも、投資額ベースでステーブルコイン決済が最大分野というわけではない。1〜3月期は、取引所、トレーディング、投資、貸し出し関連企業への資金流入が約26億ドルと最多だった。一方、Wu Blockchainは、資金調達環境が厳しい中でも、ステーブルコイン決済は一定規模のラウンドが継続している数少ない領域だと指摘する。

米連邦準備制度理事会(FRB)の調査によると、ステーブルコインの時価総額は4月6日時点で約3170億ドルと、2025年初に比べて50%超増加した。VisaとArtemisの集計データでは、直近12カ月のステーブルコイン取引量は10兆2000億ドルで、前年同期比63%増だった。ただし、このうち36%は取引所への入出金に由来しており、全体をそのまま実際の商取引決済とみなすことはできないという。

それでもVCが同分野に注目する理由として、Wu Blockchainは大きく5点を挙げている。

第1に、越境決済が長年にわたり非効率な仕組みを抱えてきたことだ。従来の送金は、送金銀行から受取銀行まで複数の中継を経るため、清算までに数日かかる。これに対し、ステーブルコインは24時間稼働する決済・清算手段として機能し得る。

第2に、収益モデルが比較的明確な点がある。値上がり益に依存するのではなく、取引手数料、為替スプレッド、カード発行手数料など、従来のフィンテック企業に近い収益構造を持つ。

第3に、ステーブルコインが利用者からは意識されにくい「バックエンド」の技術へと変わりつつある点だ。Felix PagoはWhatsApp経由で送金を処理し、Rainはステーブルコインをカードと連携させる。利用者がステーブルコインを使っていることを意識しないままサービスを利用するケースも想定される。

第4に、規制環境の整備が進んでいる。米国では2025年にGENIUS法が成立し、ステーブルコインに関する連邦規制の枠組みが整った。米通貨監督庁(OCC)も、銀行がステーブルコインやデジタル資産のカストディ業務を担えることを確認している。

第5に、M&Aによる出口戦略が見えやすくなってきたことだ。Stripeは2025年にBridgeを約11億ドルで買収。Mastercardも2026年3月、BVNKを最大18億ドルで買収することで合意した。

一方で、過熱を警戒する見方もある。ステーブルコインの取引量をそのまま決済需要と同一視できないとの指摘に加え、全体統計は一部の大型ラウンドが押し上げているだけだとの見方も出ている。

また、オンチェーン決済APIの技術的なハードルは急速に下がっているものの、各国での事業展開には銀行接続、ライセンス取得、現地規制への対応が個別に必要となるため、グローバル展開は容易ではない。StripeやVisaなど既存の金融大手が直接参入する可能性もある。

Wu Blockchainは、こうした動きについて、暗号資産の資金調達冬が終わったことを示すものでも、ステーブルコインが既存の決済システムをすでに置き換えたことを意味するものでもないと指摘した。投資家が探しているのは、トークン価格に左右されず、現実の金融課題を解決し、継続的な売上を生み出せる企業だという。

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