AIの高度化を支える基盤として、電力問題が改めて注目を集めている。データセンターと計算資源の需要が急増する一方、発電設備や送電網の整備は同じペースで進みにくく、AI拡大の制約要因として浮上してきた。
米ITメディアのTechRadarは20日(現地時間)、OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が過去に示した「AIの発展にはエネルギー分野のブレークスルーが必要だ」との見方を改めて紹介した。この発言は、2024年1月にスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)でのものだ。
アルトマンCEOは当時、「将来のAIは、人々の想定をはるかに上回るエネルギーを消費する」「ブレークスルーなしに目標に到達することはできない」と述べた。解決策として、核融合に加え、大幅な低コスト化が進んだ太陽光発電やエネルギー貯蔵装置(ESS)に言及。さらに、核分裂を利用する原子力発電もより積極的に活用すべきだとの考えを示していた。
それから2年がたった現在、電力需要の増加は数値にも表れ始めている。国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターによる電力消費が2024年の約415TWhから、2030年には約945TWhへと2倍以上に増えると予測している。
2030年時点では、世界の電力消費に占めるデータセンターの比率は3%弱に達する見通しだ。特に増加をけん引するのはAIで、AI向けアクセラレーテッドサーバーの電力消費は年平均で約30%増えると見込まれている。
もっとも、これは世界全体で電力が直ちに不足することを意味するわけではない。IEAは、再生可能エネルギーや天然ガス、原子力の供給拡大によって、データセンター需要を賄えるとみている。
ただ、問題は供給拡大のスピードにある。データセンターは2〜3年で建設できる一方、発電所や送電網などの電力インフラは、計画から完成までさらに長い時間を要する。地域によっては、送電網への接続の遅れがAIデータセンター拡大の制約になる可能性がある。
ボトルネックは電力に限らない。TechRadarは、データセンター増設の加速に伴い、ネットワーク機器や光学部品、メモリの供給もAIインフラ拡大の制約要因として浮上していると指摘した。
AI開発の競争は、モデル性能だけでは差がつきにくい局面に入りつつある。計算能力を支える電力・送電網、半導体、ネットワークをどれだけ迅速に確保できるかが、次世代AIの進化速度を左右する新たな競争力になりそうだ。