Xが、クリエイター報酬の新たな支払い手段としてステーブルコインの導入を検討していることが分かった。候補にはCircleのUSDCが挙がっている。既存の収益共有プログラムの終了と新制度への移行を控え、送金コストの圧縮と支払いの迅速化を視野に入れている。
8月21日、ブロックチェーンメディアCoinPostによると、Xはクリエイター報酬の支払いにUSDCなどを活用できるかどうか、社内で検討を進めている。
もっとも、協議はまだ初期段階にある。CoinDeskは、具体的な支払いスキームや導入時期、最終的な採用案はいずれも固まっていないと報じた。
今回の検討は、報酬制度の見直しと連動している。Xが運用してきた「収益共有」プログラムは8月7日に新規登録を終了しており、制度自体も9月7日前後に終了する予定だ。
後継となる「オリジナルコンテンツ・リワードプログラム」は、独創的なアイデアや専門知識、報道、創造性、解説を提供する投稿者に報酬を支払う仕組みとされる。
ステーブルコイン活用を探る背景には、国境をまたぐ送金で生じるコストと処理速度の課題がある。ステーブルコイン市場は3000億ドル(約45兆円)を超える規模に拡大しており、中小企業から海外子会社を持つ多国籍企業まで、国際決済手段としての活用が広がっている。
銀行網を経由する海外送金に比べ、手数料や為替コストを抑えやすく、少額かつ高頻度の報酬支払いにも適しているとの見方がある。
イーロン・マスク氏が率いる他事業では、ステーブルコインの活用がすでに進んでいる。SpaceXは、新興国向け衛星インターネットサービス「Starlink」の海外顧客からの代金回収にステーブルコインを利用している。
Xが報酬支払いでデジタル資産ベースの決済を検討するうえで、こうした運用知見が判断材料になる可能性もある。
Xは今年3月、Coinbaseのブロックチェーン基盤「Base」でデザイン統括を担っていたベンジ・テイラー氏を、XとxAI、SpaceXを横断するデザイン責任者として起用した。プラットフォーム設計や決済体験の見直しを進める中で、Web3分野の知見を取り込む動きとみられる。
市場では、報酬制度の刷新とステーブルコイン導入の検討を一体で見る向きが出ている。既存プログラムの終了が近づく中、新制度にどの支払い手段を組み込むのかが焦点となっているためだ。
Xが実際にUSDCのようなステーブルコインを採用すれば、海外ユーザー向けの精算効率を高められる可能性がある。今後の焦点は、新たな報酬プログラムにステーブルコインを組み込むかどうかと、導入する場合に既存制度の終了時期とどう連動させて報酬体系を再設計するかにある。
制度移行を控える中での今回の検討は、Xのクリエイターエコシステム運営のあり方が変わる可能性を示している。