写真=Geely Automobile

中国のGeely Automobileが、エネルギー密度500Wh/kg級の次世代全固体電池の開発を進めている。すでに搭載車両による実車検証を始めており、2027年には主要ブランド車へのパイロット導入を計画する。量産時期やコスト競争力の見通しは公表していない。

米EVメディアのElectrekが20日付(現地時間)で報じたところによると、Geelyは最大500Wh/kgのエネルギー密度を目指す全固体電池セルを開発中で、当該電池を載せた車両で走行を含む検証を進めている。

注目点はエネルギー密度の高さだ。量産EVに採用される高ニッケルNMC電池セルのエネルギー密度は一般に250〜300Wh/kg程度とされる。Teslaの4680電池も約245Wh/kgで、LFP電池はこれを下回る。実際の車載では、セルをモジュールやパックに組み上げる過程で、システム全体の重量当たりエネルギー密度はさらに低下する。

Geelyの目標が実現すれば、既存の量産電池を大きく上回る水準となる。Geelyは、500Wh/kg級の電池を搭載したEVでディーゼル車並みの航続距離を確保できるとして、1回の充電で1000km超の走行を目標に据える。電池寿命は最大100万kmを見込む。

開発はGeely Holding Group内で進めている。Geely Holding GroupはGeely、ZEEKR、Lynk & Coのほか、Volvo、Polestar、Lotus、Smartなどのブランドを傘下に持つ。2027年には、これら主要ブランド車への全固体電池のパイロット導入を進める計画だ。

材料分野での協業も進んでいる。Dow Chemicalは全固体電池セル向けの接着剤を開発しており、Dowの技術責任者ボ・トン氏は、この材料が氷点下40度から120度まで安定性を維持すると説明した。全固体電池の主要課題の一つである温度安定性の確保に向け、材料開発も並行して進めている。

もっとも、2027年のパイロット導入がそのまま量産移行を意味するわけではない。パイロット生産は、限られた数量でセルを安定的に繰り返し生産できるかに加え、性能や歩留まりを確認する段階に当たる。Geelyは量産の時期や価格競争力を確保できる時期について、具体的な見通しを示していない。

技術の詳細もなお不透明だ。Geelyは固体電解質が硫化物系か酸化物系かを明らかにしておらず、負極材料についても具体的な説明はない。500Wh/kgという数値がセルベースかパックベースかも明示していない。100万kmの寿命についても、現時点で第三者による検証データは公開されていない。

中国の電池業界では、全固体電池の開発競争が一段と活発になっている。CATLは2027年に500Wh/kg級の硫化物系全固体電池のパイロット生産を目指しており、BYDも同時期を視野に開発を進める。Toyotaも2027〜2028年に全固体電池搭載車の投入を目標に掲げている。

中国ではすでに半固体電池を採用したEVが販売されているが、500Wh/kg級の完全な全固体電池は、業界全体でなおパイロット段階の目標にとどまっている。

今後の焦点は、実車検証を経て量産段階でも高いエネルギー密度と長寿命を維持できるかどうかだ。あわせて、生産歩留まりの改善とコスト低減をどこまで進められるかも問われる。Geelyの計画が実現すれば、EVの設計自由度や競争環境に大きな影響を与える可能性がある。

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