CFTC(写真=Shutterstock)

米商品先物取引委員会(CFTC)は、議会で暗号資産関連法案「Clarity法案」の成立が遅れた場合、既存の権限に基づいて独自に市場構造規則の整備を進める方針を示した。対象には、未登録の暗号資産取引所やオンチェーン金融プロトコルが含まれる可能性がある。

ブロックチェーンメディアのDecryptが8月20日に報じた。報道によると、CFTCのマイケル・S・セリグ委員は職員に対し、現行権限の範囲内で暗号資産の市場構造規則を検討するよう指示した。

セリグ委員長は同日開かれたCFTCイノベーション諮問委員会の初会合で、超党派による市場構造立法であるClarity法案の成立が引き続き最優先だと説明した。一方で、法案審議が議会で停滞した場合には、CFTCが自ら規制の枠組みづくりに乗り出す考えを示した。

Clarity法案は、デジタル資産を巡る連邦レベルの基本的な枠組みを定め、暗号資産市場の監督におけるCFTCと米証券取引委員会(SEC)の役割分担を明確にする内容とされる。セリグ委員長は、法律に基づくルールは将来の政権交代があっても覆されにくい点を強調した。

また、前SEC委員長のゲイリー・ゲンスラーを念頭に、「Clarity法案の成立は、別のゲイリー・ゲンスラーがこの業界の個人や企業に対して恣意的な訴訟を仕掛けるのを防ぐ最も確実な方法だ」と述べた。背景には、SECが過去に暗号資産スタートアップに対して提起してきた高コストの訴訟があるとの見方がある。

CFTCが想定する規則の対象範囲は広い。セリグ委員長が示した方向性では、既存のCFTC登録事業者に加え、未登録の暗号資産取引所も監督の枠組みに組み込まれる可能性がある。

あわせて、デジタル資産市場に対応した独自ルールの下で、レバレッジ取引や証拠金取引を認める案も検討対象となり得る。

オンチェーン金融プロトコルも視野に入る。セリグ委員長は職員に対し、オンチェーン金融プロトコルの開発者と協議し、米国内で合法かつ規制に準拠した形でサービスを提供できる道筋を探るよう求めた。

市場構造規則を巡る議論は、ホワイトハウスによる立法への働きかけとも連動している。ドナルド・トランプ大統領は19日、議会に対し、Clarity法案の「公正なバージョン」を可決するよう促した。

一方で、議会が動かなければCFTCが独自対応に踏み切る可能性も鮮明になっている。セリグ委員長は、民主党の反対で法案審議が遅れ続ける場合、既存権限を活用して暗号資産市場向けの制度を構築する考えを明らかにした。

すでに職員に対して規則案の検討を指示していることから、議会審議の遅れが長引けば、ルール提案に向けた手続きが速やかに始まる可能性がある。

また、トランプ大統領は19日、主要な暗号資産業界の経営陣と開いた記者会見で、セリグ委員長が分散型の無期限先物取引所「Hyperliquid」を米国に持ち込む作業を進めていると述べた。

もっとも、セリグ委員長は、CFTCが独自措置に踏み切る前に、議会に対してClarity法案を処理するための時間をなお与える考えも示した。そのうえで、業界向けの規則提案が速やかに進むよう、CFTC職員に指示すると述べた。

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