米上院民主党のルーベン・ガレゴ議員は20日、暗号資産の市場構造を定める「クラリティ法」について、採決を急げばかえって法案成立が遠のく恐れがあると警告した。倫理規定やステーブルコイン収益を巡る論点がなお残っており、上院通過に必要な超党派の支持固めを優先すべきだとの立場を示した。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、ガレゴ氏は、こうした争点を解消しないまま採決を強行すれば、これまで積み上げてきた法案審議の前進が失われかねないと指摘した。
同氏はこの日、ワイオミング州で開かれた「Wyoming Blockchain Symposium」で講演し、暗号資産業界に対して、即時採決を求める圧力よりも、民主・共和両党による追加協議を後押ししてほしいと訴えた。
ガレゴ氏は、上院農業委員会の所管整理がなお終わっていないほか、より包括的な法案の構成や、下院送付までの段取りについても詰める必要があると説明した。
さらに、手続き採決を先行させれば、上院通過に必要な60票の超党派連合が固まる前に採決日程だけが先に進む恐れがあるとした。早期採決が望ましい結果につながるとは限らず、拙速な対応はむしろ立法の遅れを招くとの見方を示した。
主な争点の一つは倫理規定だ。ガレゴ氏は、共和党のトム・ティリス上院議員とともに超党派の折衷案を議会休会前にホワイトハウスへ提出したものの、条項ごとの回答は得られていないと明らかにした。
そのうえで、民主党の支持を確保して法案を前に進めるには、十分な倫理上の制約を盛り込むことが欠かせないと強調した。
ホワイトハウスとの交渉対応にも不満を示した。ガレゴ氏は「ホワイトハウスには何度も提案を送ったが、返答がないか、あっても大幅に遅れている」と述べた。
一方で、政権側は法案成立を急ぐ姿勢を崩していない。ドナルド・トランプ米大統領は同日、ホワイトハウスで暗号資産業界関係者と同席した場で、議会に対しクラリティ法の「公正なバージョン」を可決するよう促した。
ホワイトハウスの暗号資産政策顧問であるパトリック・ウィット氏も、9月の採決までは民主党と交渉を続けるが、いつまでも待つことはできないとの考えを示している。
上院指導部はすでに対応時期を9月へ先送りしている。ジョン・スーン上院院内総務は8月7日、採決延期を確認したうえで、休会明けにクラリティ法を最優先で扱う方針を明らかにした。
9月の採決までに残る争点をどこまで調整できるかが、法案処理の最大の焦点となる。倫理規定とステーブルコイン収益を巡って超党派合意を取り付けられなければ、政権が描く早期成立シナリオは上院で再び不透明になる可能性がある。