画像=Grayscale

資産運用会社のGrayscaleが、暗号資産Zcashに連動する「Grayscale Zcash Trust」の現物ETF化に向けた手続きを進めている。8月18日、米証券取引委員会(SEC)にS-3登録届出書の第4次修正版を提出した。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、承認されれば同商品はNYSE Arcaにティッカーシンボル「ZCSH」で上場する。実現すれば、米国で初めてプライバシーコインに連動する現物ETFとなり、株式市場の投資家にとってZcash(ZEC)への新たな投資手段となる。

今回の修正版では、設定・償還の仕組みを明確化した。届出書によると、Zcash Trustの設定・償還は主に現金で処理する。一方、認定参加者(AP)はZECの現物拠出による設定が可能だが、現時点で現物償還は認められていない。

運用体制もあらためて示した。商品はデラウェア州の法定信託として組成し、Grayscale Investments Sponsor LLCがスポンサーを務める。

また、Coinbaseがプライムブローカーを担当し、Coinbase Custody Trust CompanyがZECの保管を担う。ニューヨーク・メロン銀行は名義書換代理人と管理者を務める。Grayscaleは、登録の効力発生と取引開始後にトラスト名を変更する計画だ。

修正版には、Digital Currency Group(DCG)傘下の関連会社によるシード資金を巡る協議内容も盛り込まれた。DCG International Investmentが認定参加者を通じて20万ZECを拠出し、持分を取得する案を協議しているという。ただし、この協議に拘束力はない。

今回の申請が注目を集める背景には、Zcashがプライバシー機能を前面に打ち出した暗号資産である点がある。Zcashネットワークはゼロ知識暗号技術を用い、取引の詳細情報を秘匿できる。

これまで規制下の投資商品では、こうしたプライバシー機能を持つトークンに慎重な姿勢が示されてきた。今回のETF転換は、新たな先例となる可能性がある。

オンチェーン指標からも、プライバシー需要の拡大がうかがえる。流通量に占めるシールド残高の比率は約30%上昇し、過去最高となった。

さらに、ネットワークのOrchardプールの規模は、この12カ月で192万ZECから455万ZECへ拡大した。

一方で、Zcashは今年、セキュリティ上の懸念で大きな打撃を受けた。セキュリティ研究者のテイラー・ホーンビーは2026年半ば、Orchardのシールドプールで偽造ZECを発行できた欠陥を公表した。

報道直後、ZECの価格は一時602ドルから299ドル近辺まで下落した。その後、開発陣は偽造コインの検知を目的とした「Ironwood」アップグレードを実施した。

今回のETF化は、プライバシー機能とセキュリティ課題を併せ持つネットワークを、規制下の投資商品として組み込む試みといえる。今後の焦点は、SECが承認するかどうかに加え、現金中心の設定・償還構造が最終的な上場スキームに反映されるかにある。

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