コーディングAI市場でBig Techの攻勢が強まっている。Anthropic、OpenAI、Cursorが先行してきた市場にMetaが参入し、GoogleやAmazon Web Services(AWS)も関連施策を拡充。中国でも大規模AIモデルの開発や投資、提携が相次いでおり、市場の勢力図が変わる可能性が出てきた。
Metaは初のAIコーディングエージェント「Muse Code」をベータ版として公開し、AIコーディングツール市場に本格参入した。
Googleは、AIコーディング分野のスタートアップMechanizeと、約15億ドル(約2250億円)規模の取引を協議している。Mechanizeの技術に関する非独占ライセンスを確保し、モデル評価や開発に携わる人材の一部受け入れも検討しているという。
AWSは、自律型ワークスペース「Kiro Crew」の提供を始めた。開発者が不在の間もAIコーディングエージェントが作業を継続できる仕組みで、複数のエージェントとサブエージェントに多段階の作業を割り当て、レビューが必要になるまで人手の介入を抑える設計としている。
一方で、AI活用が進む一部企業の間では、コスト増を背景に社内向けのコーディングAIツールを自社開発して活用する動きも出ている。
中国勢の動きも活発だ。米企業に匹敵する大規模AIモデルの開発を目指し、ByteDanceは最大10兆パラメータ規模のモデルを開発中とされる。Anthropicの最先端「Mithos」システムに近い規模になる可能性があるとの見方もある。
Alibaba Groupは新たなフラッグシップモデル「Qwen 3.8-Max」をAPIで公開した。価格は競合のMoonshot AIの人気モデル「Kimi K3」より低く設定した。
中国AIスタートアップのDeepSeekは、ロボット企業Unitreeに1億4080万元(2080万ドル)を投資し、ヒューマノイドロボット向けAIモデルを共同開発する。
中国AI企業は、性能と普及スピードの両面で米国勢を急速に追い上げている。ただ、最先端チップ、計算資源、資金調達、人材確保では、なお米国が大きな優位を保っているとの見方もある。
このほか、AIを巡る企業動向も広がっている。
LG AI Researchは、自社開発の表データ予測モデル「EXAONE Tabular」と、時系列の将来データを予測する「EXAONE Forecast」が、それぞれグローバルのリーダーボードで最高性能(SOTA)を達成したと発表した。
Younglimwon SoftLabは、新入社員の早期立ち上がりと人事担当者の業務効率化を支援するAIベースのオンボーディングサービス「EverWelcoming」の提供を開始した。税務自動化を手がけるSolomon Labsは、節税戦略を立案するAIエージェントの投入に向け、Stripe出身のイ・チャンホン氏をプロジェクトリードに起用した。Instagramのオーガニックビュー広告サービス「Addit」を運営するAddit&Arc Corporationは、Mashup Ventures、Kakao Ventures、Base Ventures、Biz Cafe(BZCF)からシード資金を調達した。
Diquestは、AIエージェントプラットフォーム「Delma」に、自然言語だけで業務自動化ワークフローを生成できる対話機能「Vibe Workflow Builder」を搭載した。Realworld(RLWRLD)は、PhysicsSimLab、Space AI、Ndotlightの3社と、それぞれロボティクス・シミュレーション分野で業務提携(MOU)を結んだ。
OpenAIは、プレゼンテーション関連スタートアップのNextSlideを買収した。NextSlideのチームは現在、ChatGPT関連業務を担当しているという。さらに、投入予定のAIモデル「Astra」については、内部評価で「critical(深刻)」等級に相当するサイバー攻撃能力を備える可能性を排除できないとして、開発の一部を中断した。ChatGPTでは、無料ユーザーと高頻度利用ユーザーに対し、テキストチャットを無制限で提供する方針も示した。
AnthropicはAI向け自社チップの設計チームを立ち上げた。TechCrunchによると、採用情報を通じて「カスタムシリコンチーム」で働くチップ設計エンジニアを募集している。
エンタープライズAI企業のCohereは、アジア太平洋地域での事業拡大を加速する。韓国と日本で現地法人を設立し、シンガポールの公共部門との協力も強化する。年末までに同地域の技術・営業人員を現在の2倍に増やす計画だ。
Mistral AIは、AIモデルの入力と出力を分類する軽量マルチモーダル安全性モデル「Shieldstral」を公開した。
Cloudflareは、AIエージェント専用のクラウドブラウザ「Kitesurf」を投入した。企業向けのオープンソースAIエージェント・ワークスペース「Cloudflare OS」も提供する。
Adobeは、クリエイティブと生産性向けのプロ向けツールを統合した「Adobe plugin in ChatGPT」の提供を開始した。
Red Hatは、AIガバナンス方針を運用統制へ自動変換するオープンソースのコミュニティプロジェクト「asago(AI Safety and Governance Orchestration)」を公開した。
NVIDIAを巡っては、次世代GPU「Rubin Ultra」に計画より少ない高帯域幅メモリ(HBM)を搭載する案を検討しているとの報道が出ている。一方で、ロボタクシーや自動運転車の開発向けに、オープン推論モデル「NVIDIA Alpamayo 2 Super」の商用利用も支援する。GPUとストレージを直接接続する「qfile」APIもオープンソースで公開した。
Rimini Streetは、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)ソリューション「Rimini Govern」製品群の最新サービスとして、「Rimini Govern for AI」の提供を始めた。
中国AI企業が、無料でダウンロードでき改変まで可能なオープンウェイトモデルでグローバル市場に攻勢をかけるなか、米国でもオープンウェイトを強みとするスタートアップが台頭し始めている。