写真=ナノバナナ

AIが既存ソフトウェア製品の価値を押し下げかねないとの懸念が広がり、米ソフトウェア株の値動きが荒くなっている。CNBCが7日(現地時間)に報じたところによると、Airtableの低い評価額での買収に加え、HubSpot、Datadog、Figmaの決算後の株価急落が重なり、いわゆる「SaaSpocalypse」を巡る議論が再び強まった。

とりわけ市場の不安を映したのがAirtableの買収案件だ。イタリアのソフトウェア買収会社Bending Spoonsは、ワークフロー管理スタートアップのAirtableを13億ドル(約1950億円)未満で買収することで合意した。Airtableは2021年のピーク時には、企業価値が約120億ドル(約1兆8000億円)と評価されていた。

上場ソフト株にも売りが広がった。HubSpotは決算発表の2日後に19%下落し、10年ぶりの大幅安となった。過去1年の下落率は50%を超えている。

Datadogも7日に19%下げ、2019年の上場以来で最大の下落率を記録した。同社は、最大のAI顧客が6月以降に利用を縮小したと明らかにしており、アナリストはこの顧客をOpenAIとみている。ただ、Datadog株は年初来では72%上昇している。

ウォール街では、OpenAI CodexやAnthropicのClaude Codeといったツールが、ソフトウェア企業の収益構造を弱める可能性があるとの見方が広がっている。RBC Capital Marketsのマット・ヘドバーグ氏は、企業がコーディングエージェントを使って機能を内製化すれば、ソフトウェアの更新契約に下押し圧力がかかり得るとみている。

同氏は、この四半期は投資家心理が冷え込み、顧客がソフト企業との商談そのものを控える動きもみられたと指摘した。

影響は資金調達市場にも及んでいる。今年は目立ったSaaS企業のIPOがなかった。スタートアップ情報サービスPitchBookの集計によると、2026年上半期の未上場企業取引額の86%はAI企業に集中した。

一方で、決算をきっかけに株価が切り返す銘柄も出ている。TwilioとAtlassianは四半期決算の発表後、8日にそれぞれ20%超上昇し、Cloudflareも5.6%高となった。

Atlassianは2021年以降で最も高い収益性を記録し、株価は1日で35%急伸した。2015年の上場以来で最大の上昇率となった。

BoxのCEO、アーロン・レヴィ氏はXへの投稿で、Atlassianの四半期決算は市場予想を大きく上回ったと指摘した。そのうえで、過去6カ月でエージェントが一部のソフトウェア分野に逆風となる可能性はあるものの、多くの投資家はその影響を誤って受け止めていたとの見方を示した。

AtlassianのCEO、マイク・キャノン=ブルックス氏は、研究開発部門が顧客により高い品質、価格、提供スピードを実現するため取り組んできたと説明した。

Salesforceにも逆風が続く。マーク・ベニオフCEOは、既存の販売、マーケティング、顧客サービス向けソフトウェアはAIコーディングに置き換えられないと投資家に説明してきた。しかし、Salesforceは2024年末以降、時価総額が40%超減少している。

RBCのリシ・ジャルリア氏は、Atlassian株の急騰には空売り投資家の買い戻しが一部寄与した可能性があると指摘した。その上で、市場が見限ったと受け止めていた企業で逆のシグナルが出れば、ショートスクイーズが起こり得ると述べた。

キーワード

#AI #SaaSpocalypse #SaaS #ソフトウェア #Airtable #HubSpot #Datadog #Figma #OpenAI #Anthropic #Twilio #Atlassian #Cloudflare #Salesforce
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.