韓国の金融業界で労働組合の集団行動が相次いでいる。Kakaobankでは賃上げや賞与基準を巡る労使対立がストライキに発展したほか、農協や国策銀行では政府の第2次公共機関移転計画をにらんだ反対の動きが強まっている。
金融業界によると、Kakaobank労働組合は31日、1日ストライキを実施した。年休や休日を活用して業務を離れる「ログアウトデー」方式で行われ、約700人が参加したという。
労使は年俸の引き上げ率や賞与の支給基準などを巡って隔たりを埋められていない。労組は京畿地方労働委員会の調整中止決定を受けて争議行為の賛否投票を実施し、投票参加者の95%が賛成したことからスト入りを決めた。今月中旬には組合員数が全役職員の半数を超え、過半数労組の地位も確保した。
労組は、会社の規模や業績が拡大している以上、社員への還元や処遇改善もそれに見合って拡大すべきだと主張している。
これに対しKakaobankは、営業継続計画(BCP)に基づいて預金、振込、融資返済、消費者保護といった中核サービスを維持し、利用者への影響を最小限に抑える方針を示している。31日以降の追加的な集団行動の日程は、現時点では決まっていないという。
Kakaobank関係者は「利用者に不便が生じないよう、サービスの安定運営と業務継続性の確保に最善を尽くしている」とした上で、「出勤人員と中核業務の担当者、団体協約に基づく必須要員を中心に、事前に策定した業務継続計画に沿って対応している」と説明した。
◆地方移転計画に反発広がる
政府が第2次公共機関移転計画を9月中に公表する見通しとなる中、金融機関の地方移転を巡る反発も広がっている。
全国金融産業労働組合のNH農協支部は29日、ソウル・光化門で農協本社の地方移転に反対する決起集会を開いた。労組側は約4000人が参加したとみている。
労組は、農協中央会が農産物の流通や価格形成、全国の農畜協の意思決定を調整する組織であり、首都圏を離れれば事業効率が低下する可能性があると主張する。本社移転には、土地取得費を除いても少なくとも2520億ウォン(約277億円)がかかると見積もっており、多額の移転コストが農業者支援の財源縮小につながりかねないとしている。
さらに、役職員の約73%がすでにソウル・京畿・仁川以外の地域で勤務しているため、追加移転による地域均衡発展の効果は限定的だとの見方も示している。中央本部の人員1167人のうち、資産運用やデータセンターなど首都圏に残す必要がある部門を除くと、移転可能な人員は約460人にとどまるというのが労組側の試算だ。
法的根拠を疑問視する声もある。労組は、農協中央会は相互扶助を目的に設立された機関で、現行法では公共機関の地方移転対象から除外されていると指摘。法改正によって移転を進めれば、協同組合の自律性と独立性を損なうおそれがあると訴えている。
国策銀行の労組も共同対応に乗り出す。韓国産業銀行、IBK企業銀行、韓国輸出入銀行の各労組は8月11日、ソウル・汝矣島の韓国産業銀行本店近くで地方移転反対集会を開く計画だ。業務時間後に実施し、当面は営業への支障を避ける方針だが、移転論議が強行される場合は争議行為やストも辞さない構えを示している。
金融業界では、地方移転が政策金融機関どうしの業務連携や専門人材の確保に影響するとの懸念が出ている。とりわけ国策銀行は政府の生産的金融拡大や政策ファンド運用を担っているだけに、対立が長期化すれば政策執行の負担になりかねないとの見方もある。
金融業界関係者は地方移転問題について、「労組は現在取り沙汰されている移転の可能性を踏まえ、集会などの集団行動を通じて阻止を図ろうとしているようだ」と述べた。その上で、「本社移転は役職員だけでなく、清掃や委託業務など協力会社で働く人たちの雇用と生活にも影響するため、現実的には強行しにくいだろう」と話した。