Appleは、同社初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を発表した。10月に発売する予定で、価格は1999ドル。折りたたみ端末は依然として市場の主流ではないが、Appleは新たなフォームファクターを通じてプレミアム市場での差別化を図る構えだ。
iPhone Duoは、iPhoneとしてはデザイン面で大きな転換点となる製品だ。一方で、折りたたみスマートフォン自体は新しいカテゴリーではなく、市場全体でも主流とは言いにくい。改良は進んでいるものの、一般的なスマートフォンに比べて耐久性への懸念が残るほか、価格も高くなりやすい。
価格はSamsung Electronicsの折りたたみ端末「Galaxy Foldable」の1900ドルを上回る。それでもAppleが参入した背景について、New York Timesは、折りたたみという新たなデザインがプレミアムスマートフォン市場で存在感を高める材料になり得ると報じた。似たような従来型スマートフォンがあふれるなか、折りたたみ端末が差別化要因として機能するという見方だ。
従来型スマートフォンは性能向上が進む一方で、高価格帯モデルと低価格帯モデルの違いが見えにくくなっている。カメラレンズの数が増えたとしても、それだけで強い新鮮味を打ち出すのは難しいとNew York Timesは伝えている。
市場調査会社IDCのナビラ・ポパル氏(ディレクター)は、折りたたみ端末を高級ブランド品になぞらえる。「ハンドバッグに似ている。なぜ別のバッグではなくシャネルを買うのか。革のためではなく、シャネルを持てる人だと示すためだ」と述べた。
スマートフォン業界の折りたたみシフトは、テレビメーカーがかつて採った戦略に近いとの見方もある。New York Timesによると、高画質テレビの普及で500ドル前後でも大型で鮮明なテレビが買えるようになると、Panasonic、LG、Sonyなどは曲面ディスプレイや3D映像再生などを打ち出した高価格帯テレビを3000ドル台で投入した。
結果として、こうした試みは成功しなかった。ただ、プレミアムテレビで差別化を図る流れは続き、最終的には有機ELを採用した製品が成功を収めたという。
現在のスマートフォン市場では、消費者に新製品への買い替えを促すこと自体が難しくなっている。人工知能の広がりを背景に半導体需要が増え、電子機器の価格上昇も続いている。
そのなかで、折りたたみスマートフォンは市場全体に占める比率こそ大きくないものの、成長分野になるとの見方が出ている。IDCによると、半導体供給不足に伴う値上げを背景に、2026年の世界スマートフォン販売台数は17%減少する見通しだ。一方、折りたたみ端末はiPhone Duoの投入効果もあり、12%増の2290万台に達すると予測している。
Appleの参入で、依然として主流ではない折りたたみ市場がどこまで広がるかも焦点となる。ただ、Appleであっても市場拡大は容易ではないとの見方は根強い。
New York Timesは、消費者が高価格に加え、使い勝手や利用上の制約を理由に折りたたみ端末の購入をためらっていると報じた。折りたたみディスプレイは、硬いガラスで保護された一般的なスマートフォンの画面に比べて耐久性が低いとの指摘があるほか、折りたたむことで端末が厚く重く感じられやすいという。
Appleは、内側の折りたたみ画面に競合製品より耐久性に優れた素材を使ったと説明した。一方で、薄型化を優先した結果、一部部品を省いた点は弱みになる可能性がある。
iPhone Duoは、1199ドルの「iPhone 18 Pro」に搭載する高性能カメラシステムを備えていない。顔認証に代えて、指紋認証を採用する。