ビットコイン(写真=Shutterstock)

米ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場のAIオペレーティングシステム企業Vida Globalは、従業員が給与の一部をビットコイン(BTC)で受け取れる仕組みを導入した。企業側はBTCを直接保有せず、ドル建て会計を維持したまま運用する点が特徴で、上場企業による新たな暗号資産活用の事例として注目されている。

Bitcoin Magazineが30日(現地時間)に報じた。Vida Globalは、ビットコインインフラ企業VoltageのプラットフォームとLightning Networkを活用し、給与の一部をビットコインで支給する運用を開始した。

今回の仕組みの最大の特徴は、Vida Globalがビットコインを直接保有せず、財務諸表に暗号資産を計上せずに済む点にある。給与はあくまでドル建てで処理され、Voltageがこれをビットコインに転換して従業員へ送金する。

Vida Globalは月末にVoltageへドル建てで精算し、会計処理を完了する。通常の取引先への支払いに近い形で処理できるため、暗号資産を直接保有する場合に比べて会計上の負担を抑えられるという。

このため、上場企業でも暗号資産を購入・保有することなく、従業員のビットコイン受け取りニーズに対応できる。財務諸表もドル建てのまま維持できるとしている。

導入のきっかけは、海外拠点の従業員からの要望だった。テキサス州オースティンに本社を置くVida Globalはグローバルに人材を採用しており、とりわけアルゼンチンの従業員から、現地通貨の下落に備えてビットコインで給与を受け取りたいとの希望があったという。

Vida GlobalのCEO、ライル・プラット氏は「Voltageがビットコインでの支払いを処理し、当社は月末にドルで精算する」と説明。「この仕組みによって、従業員と財務チームの双方にとって、ビットコイン給与の提供が大幅に簡素化される」と述べた。

決済インフラを提供したVoltageも、今回の取り組みをグローバル給与の新たな活用モデルと位置付けている。VoltageのCEO、グラハム・クリゼック氏は「グローバル前提で事業を展開するAI企業と既存の決済インフラの間にはギャップがあった」と語った。

その上で同氏は、「従業員は希望する資産を数秒で受け取ることができ、財務チームは暗号資産を直接扱う必要がない」と強調した。

ビットコインでの支払いにはLightning Networkを用いる。Lightning Networkは、ビットコインのメインチェーンの外側で取引を処理するスケーリング技術で、送金速度の向上と手数料の低減を目的に開発された。

こうした特性から、繰り返し発生する少額決済が多い給与支給や決済サービスとの相性が良いとされる。実際、Lightning Networkはジャック・ドーシー氏が率いる事業群のCash Appや、SquareのPOS端末にも導入されたことがある。

市場では、上場企業がビットコインを財務資産として保有せず、従業員報酬の手段として活用した点に関心が集まっている。会計負担を抑えながら、グローバル人材の多様な受け取りニーズに応えるモデルとして広がるかが焦点となりそうだ。

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