SECとCFTCが進める「Project Crypto」。写真=Reve AI

米証券取引委員会(SEC)が、暗号資産の募集・売り出しに関する新たな規則案の検討を進めていることが分かった。上院でデジタル資産市場構造法案「Clarity法案」の審議が停滞する中、法整備を補う行政対応として市場の関心を集めている。

ブロックチェーンメディアのCoinpostが29日(現地時間)に報じた。法案が前進しない場合、今回の規則案が行政レベルでの代替策として機能するとの見方が出ている。

関心が高まるきっかけとなったのは、投資家デービッド・ネイジ氏のX(旧Twitter)への投稿だ。ネイジ氏は同日、SECと米商品先物取引委員会(CFTC)が共同で進める規制プロジェクト「Project Crypto」を通じ、法整備を補う行政対応として市場制度の一部を規則制定で整えようとしていると指摘した。その根拠として、米政府の統合規制アジェンダに掲載されたSECの規則制定案件(RIN:3235-AN38)を挙げた。

同案件によると、SEC企業金融局は、暗号資産の募集・売り出しに関する規則案を委員会に提案するかどうかを検討している。規則案には一定の適用除外やセーフハーバー規定が盛り込まれる可能性があり、SECは暗号資産市場の規制枠組みを明確化し、市場の予見可能性を高めることを狙いとしている。

統合規制アジェンダでは、この案件は「経済的に重要」かつ「主要規則」に分類されている。段階は「規則案提案段階」とされ、スケジュール上は規則制定案(NPRM)の提出時期を2026年7月としているが、29日時点で正式な規則制定案は公表されていない。

背景には、立法の遅れがある。Clarity法案は2025年7月に米下院を294対134で通過したものの、上院での採決見通しはなお不透明だ。討論終結に必要な60票を確保するには、共和党に加えて相当数の民主党議員の賛成が欠かせない。市場では、8月の休会前が事実上最後の現実的な審議機会になるとの見方もある。

こうした中でも、SECとCFTCは法制化とは別に共同作業を進めてきた。両機関は2026年1月、Project Cryptoを共同事業として推進すると発表。続く3月には、暗号資産を5つのカテゴリーに分ける分類体系を盛り込んだ共同解釈文書を公表した。今回浮上した募集・売り出し規則の検討も、その延長線上にあるとみられる。

もっとも、行政措置には限界もある。規則制定や解釈文書は法律と異なり、将来の政権交代で見直される可能性があるためだ。市場に迅速な基準を示せる利点はある一方、持続性や安定性の面では議会立法に及ばないとの指摘がある。

今後の焦点は大きく2つある。1つは、SECが実際にNPRMを公表し、適用除外やセーフハーバーの具体的な範囲を示すかどうか。もう1つは、上院がClarity法案の審議を進め、法律に基づく包括的な規制枠組みを整備できるかどうかだ。米国の暗号資産規制が立法と行政のどちらのルートで先に具体化するのか、市場の視線が集まっている。

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