米上院は29日、米証券取引委員会(SEC)前委員長のジェイ・クレイトン氏を国家情報長官(DNI)に充てる人事を賛成51、反対47で承認した。クレイトン氏は暗号資産業界では、Ripple Labsを相手取ったXRP訴訟を提起した人物として知られており、今回の起用にも関心が集まっている。
ブロックチェーン関連メディアのU.Todayによると、上院は同日の本会議でクレイトン氏のDNI指名を採決した。
クレイトン氏はSEC委員長在任中の2020年12月22日、退任直前にRipple Labsと、ブラッド・ガーリングハウスCEO、共同創業者のクリス・ラーセン氏を提訴した。SECは当時、XRPの販売を通じて13億ドル(約1950億円)規模の未登録証券の募集を行ったと主張していた。
この訴訟はその後、暗号資産業界を象徴する規制訴訟へと発展した。クレイトン氏の退任後も、後任のゲイリー・ゲンスラーSEC前委員長の下で訴訟は継続。裁判所が主要争点でRipple側の主張を認めたことは、業界全体に大きな影響を及ぼしたとみられている。
今回の承認手続きは、ドナルド・トランプ政権の人事を巡る政治対立も映し出した。上院は前日、討論終結動議を賛成51、反対43で可決しており、最終採決でも共和党が賛成、民主党が反対する党派色の強い構図が続いた。採決では上院議員2人が欠席した。
クレイトン氏は上院情報委員会の承認公聴会で、情報機関分野での実務経験の乏しさを指摘された。一方で、共和党の支持を軸に同委員会を通過し、本会議でも過半数の賛成を確保した。
クレイトン氏は官民双方で経歴を重ねてきた。2017年にはトランプ第1期政権でSEC委員長に指名され、上院で61対37の超党派支持を得て承認されている。2020年までSECを率いた後、民間に復帰した。
その後、2025年にニューヨーク南部連邦検察庁の連邦検事正に任命され、テロや組織犯罪、制裁違反、金融詐欺事件などを統括した。2026年6月にタルシ・ギャバード前DNI長官が辞任した後、後任候補に指名され、今回の上院承認を経て正式就任する。
市場では、今回の人事が情報機関トップの任命であることから、暗号資産の規制政策に直接大きな変化を及ぼす可能性は低いとの見方が出ている。一方で、XRP訴訟の発端を作ったSEC前トップが米情報機関の最高責任者に就くことで、過去の規制対応が改めて注目を集めている。