争点は法案そのものの是非より、ステーブルコインと銀行預金の競合に移っている。写真=Reve AI

米銀行業界団体が、暗号資産(仮想通貨)規制法案「Clarity法案」の成立支持を表明する一方で、ステーブルコインに関する一部規定の修正を求めている。焦点となっているのは、規制枠組みの整備そのものではなく、ステーブルコインへの利回り付与が銀行預金の流出につながるかどうかだ。

Bitcoin Magazineが29日付で報じたところによると、米国銀行協会のロブ・ニコルスCEOは、同法案について「良い内容が多い」と評価しつつ、ステーブルコインと地域向け融資を巡る部分には修正が必要だとの認識を示した。

米議会では、8月の休会前にClarity法案の処理を進める動きが続いている。法案の柱は、米国内の暗号資産規制の枠組みを明文化することにある。

ただ、銀行業界は、ステーブルコインが利用者に利回りや収益機会を提供できる仕組みになれば、既存の預金基盤が揺らぐ可能性があると警戒している。

ニコルス氏は、法案全体は約600ページに及ぶ一方で、銀行業界が求めているのは「2つの段落に対する小さな外科的修正」にすぎないと説明した。法案全体の見直しではなく、争点となる一部条項のみを調整すべきだとの立場だ。

そのうえで同氏は、暗号資産業界と銀行業界は共存可能だと強調した。米国は「世界の暗号資産の首都」であると同時に、「世界の銀行の首都」にもなり得ると述べた。

Clarity法案は昨年、下院を通過した。その後、銀行業界がステーブルコインの収益付与の問題を提起したことで、審議は停滞した。

今年1月には、Coinbaseが銀行業界との対立を受けて法案支持を撤回した。銀行側は当時、ステーブルコインによる収益の支払いを禁止すべきだと主張していた。

銀行業界が最も懸念しているのは顧客資金の流出だ。暗号資産取引所が預け入れ資金に対して銀行預金より有利な商品性を打ち出せば、既存の預金が流出しかねないとみている。

これに対し、Coinbaseのファルヤル・シルザド最高政策責任者は今週、銀行業界の懸念をけん制した。大手銀行はすでに暗号資産技術を導入していると主張している。

実際、米大手銀行はステーブルコイン事業に関心を示しており、一部では商品投入も始まっている。JPモルガンとバンク・オブ・アメリカが代表例だ。

銀行業界は表向きには規制整備の補完を求める一方で、別の側面ではブロックチェーン基盤の商品検討も進めている構図となっている。

法案修正に向けた動きも始まった。先週出回った新たな草案には、公職者とその家族による暗号資産の発行または宣伝を禁じる内容が盛り込まれた。

この点は、これまで野党議員が問題視してきた部分でもある。

政界では共和党議員が民主党に法案可決を迫っている。超党派の支持基盤はあるものの、エリザベス・ウォーレン上院議員ら一部議員は、この草案がドナルド・トランプ大統領による暗号資産を通じた収益獲得を認めるうえ、犯罪者にも利益をもたらしかねないと批判した。

一方、FidelityやGoldman Sachsなどの主要金融機関、暗号資産ロビー団体、一部の政界関係者は、現行の修正案でも対応可能との立場を示している。議会審議の焦点は、法案の存廃そのものよりも、ステーブルコインの収益付与と銀行預金との競合をどこまで調整するかに絞られつつある。

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