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中国のAIモデルが、米国勢の先行モデルとの性能差を急速に縮めている。加えて、推論コストは最大で100分の1水準まで低下しており、AI市場の競争軸が変わり始めた。最高性能を競う段階から、高性能なAIをどれだけ安価に、広く展開できるかが勝敗を左右する局面に入りつつある。

米TechRadarは28日(現地時間)、AI競争の勝者は「単一で最も高性能なモデル」を持つ企業ではなく、高性能AIを低コストで大規模に提供できるエコシステムを構築した企業になる可能性が高いと報じた。分析対象は15社の33モデルで、推論性能や運用コスト、提供形態を比較した。

科学分野の推論性能を測るベンチマーク「GPQA Diamond」では、米企業が引き続き上位を占めた。AnthropicのClaude Mythos 5が94.4%で首位となり、Google Gemini 3.1 Proが94.3%、Claude Fable 5が94.0%で続いた。

一方、中国モデルも差を大きく縮めている。AlibabaのQwen 3.7 Maxは92.4%、GLM-5.2は91.2%、DeepSeek V4 Proは90.1%で、最上位モデルに迫る水準に達したとTechRadarは評価した。

ただ、より大きな差が表れているのは性能ではなくコストだ。TechRadarは、推論コストの低下が単に同じ処理を安くするだけでなく、企業におけるAI活用の範囲そのものを押し広げていると分析した。

同じ予算でも処理できるリクエスト数が増えるため、AIの導入先は中核業務にとどまらず、顧客対応、コンテンツ生成、社内業務の自動化へと広がる。こうした環境が整えば、スタートアップや中堅企業でも、高水準のAIを比較的低コストで導入しやすくなるという。

TechRadarは、市場が大きく2つに分かれつつあるとみる。顧客対応や文書作成、コンテンツ生成のように、一定水準の性能で実用になる大衆市場では、ベンチマークの点数よりも価格競争力の重要性が増している。

実際、AIプラットフォーム「OpenRouter」の直近1年間のトラフィックでは、米モデルの比率が約74%から20%水準へ低下した一方、中国モデルの比率は5割近くまで拡大した。トークン使用量ベースでは、すでに中国モデルが優位に立っているとの分析もある。

これに対し、コーディングやAIエージェントのように複雑な推論が求められる高難度分野では、なお最先端モデルの価値が大きい。

複数の工程を連続して処理するタスクでは、わずかな性能差が最終結果を大きく左右し得るためだ。このため、企業のAI予算は依然として最上位モデルに集まりやすい。TechRadarは、AnthropicがコーディングとAIエージェント需要を追い風に、企業向けAPI支出の約40%を占めていると伝えた。

中国企業のオープン戦略も普及を後押ししている。GLM-5.2、DeepSeek V4 Pro、Qwen 3.5 397BはOpen Weight方式で提供されており、企業は自社サーバー上で直接運用できる。データ管理の主導権を確保しやすく、特定ベンダーの価格政策やサービス変更への依存を抑えられる点が利点だという。

TechRadarは、中国のAI企業が単なる低価格の代替候補にとどまらず、低コスト、開放性、運用の主導権を前面に打ち出した新たなAI導入モデルを提示していると評価した。

規制を巡る議論も続いている。Microsoftのサティア・ナデラCEO、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOらは公開書簡で、オープンAIモデルに対する過度な規制が米国の競争力を損なう恐れがあると主張した。オープンなAIモデルの拡大が技術コストを引き下げ、産業全体のイノベーションを促し得ると訴えている。

もっとも、中国モデルの拡大には政治的な制約もある。TechRadarは、中国モデルが技術面ではオープンでも、天安門事件、台湾問題、新疆ウイグル、香港デモ、習近平国家主席に関する質問では、回答を制限したり、中国政府の立場を反映したりする場合があると指摘した。

AIセキュリティ企業のEnkrypt AIも、DeepSeek R1の分析結果として、中国に関する敏感な質問の約91%で親中寄りの回答傾向が維持されたと公表した。企業が自社サーバーでモデルを運用しても、政治的バイアスまで完全に除去できるとは限らない可能性を示している。

TechRadarは、米欧のAI企業が最高性能では優位を保っている一方で、それをあらゆる市場で高価格のまま収益化するのは難しくなっていると分析する。大衆市場では「十分に使える性能」と低コストがより重要な競争力になっており、今後のAI競争はベンチマークのスコアではなく、誰がより低コストでスケーラブルなAI基盤を築けるかで勝敗が分かれるとみている。

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