ロシア中央銀行は28日、暗号資産取引を既存の「組織化された取引」の枠組みに組み込む規則改正案を公表した。暗号資産取引所などに対し、価格算定や取引監視、報告を従来の手続きに沿って行うよう求める内容だ。
ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが28日付で伝えた。改正案では、既存の取引ルールの対象に「デジタル通貨」を明記し、暗号資産取引を制度上の枠組みに取り込む。
焦点は、暗号資産向けの暫定的な別制度を新設するのではなく、通貨や証券に適用してきた既存の手続きを活用する点にある。これにより、取引所などは暗号資産を既存のインフラ上で扱い、価格算定、監視、報告を実施することになる。
今回の改正案は、国家ドゥーマが暗号資産全般を対象とする包括的な規制の整備を進める時期に示された。取引インフラと報告の枠組みを先行して整える動きといえる。
一方、公表された改正案にビットコインへの直接の言及はない。
ロシアはこれまで、ビットコインを含む暗号資産に対し、慎重姿勢と活用模索が併存する政策を取ってきた。国内では2022年以降、暗号資産を決済手段として使うことは違法とされている。
その一方で、立法府は国際決済への活用には前向きな姿勢を示してきた。国家ドゥーマは2023年、デジタル通貨を国際決済手段として利用することを合法化する法案を可決している。
こうした動きは、欧米の制裁強化を受けて国際的な資金移動手段の多様化を模索する流れとも重なる。米国と欧州の政府は、2014年のクリミア併合後に対ロシア制裁を実施し、2022年のウクライナ侵攻後に制裁をさらに強化した。
ウラジーミル・プーチン大統領は、ビットコインのマイニングを巡ってロシアの優位性に言及したこともある。ロシアは安価なエネルギー資源を豊富に持ち、ビットコインのマイニングで「競争優位」を持つと述べていた。
ロシアは、マイニングでは産業上の機会を見込み、決済では対外制裁への対応策として暗号資産の活用を検討してきた構図だ。
プーチン大統領は2024年12月、モスクワで開かれたフォーラムでも、新技術が資金移動を後押しし得ると指摘した。その際には「例えば、ビットコインを誰が禁止できるのか。誰にもできない」と発言している。
こうした発言は、ロシアがビットコインを含むデジタル資産の活用余地を完全には閉ざしていないことを示す事例として受け止められてきた。
もっとも、今回の改正案をロシア国内の暗号資産取引の全面自由化とみるのは難しい。決済禁止の方針を維持したまま、取引、報告、監視を既存ルールに組み込む性格が強いためだ。
今後は、国家ドゥーマで進む包括規制の議論が、取引の許容範囲や国際決済での活用、取引所に求める開示義務や監督体制まで、どこまで具体化するかが焦点となる。