写真=ジム・クレイマー氏(Jim Cramer)のXより

米ウォール街で、2026年上半期の相場をけん引したAIインフラ関連株に利益確定売りが広がっている。資金はデータセンター投資の拡大だけに業績を依存しない銘柄へ移りつつあり、ソフトウェア株や消費関連株にも物色が広がっている。

米CNBCが7月28日(現地時間)に報じたところによると、ジム・クレイマー氏は足元の相場について、AI投資そのものが失速しているのではなく、大きく上昇した銘柄から別のセクターへ資金が移る局面だと説明した。AIインフラ関連株からの資金流出と見ることもできるが、市場全体で物色対象が広がっている過程でもあるとの見方を示した。

上半期は、AIデータセンターの構築需要を追い風とする銘柄が相場を主導した。ただ、ここ数週間はその一角に調整色が強まっている。Micron、Western Digital、Seagate、SanDiskは、AIサーバー向けメモリー不足を背景に強い価格決定力を確保し急騰したが、投資家の間では、こうした供給逼迫と高収益は長続きしにくいとの見方が広がっているという。

クレイマー氏は、こうした企業の好不況の循環を何度も見てきたとしたうえで、供給不足が生む急騰はいずれピークを迎えると指摘。その局面では売却を検討すべきだと述べ、株価は市況の終盤を先回りして織り込むとも付け加えた。

その象徴例として挙げられるのがWestern Digitalだ。同社株は6月18日に746ドルで過去最高値を付け、年初来上昇率は333%に達したが、その後6週間足らずで高値から約40%下落した。

もっとも、クレイマー氏は資金が株式市場の外に流出しているとはみていない。投資家は、AIインフラ支出の拡大に業績が左右されやすい企業から資金を引き揚げる一方、別の成長ドライバーを持つ銘柄へ資金を振り向けているという。

こうした流れのなかで、これまで出遅れていたソフトウェア株にも買いが入っている。ServiceNowとSalesforceは今月に入り、それぞれ約11%、16%上昇した。消費関連の大型株も資金シフトの恩恵を受けており、クレイマー氏はCostcoとWalmartを市場の関心が向かう銘柄として挙げた。

Johnson & Johnsonも、こうした資金シフトの受け皿の1つだ。28日の取引では一時、過去最高値を付けた後に上げ幅を縮小した。同社は前日、タルク製品に関連する卵巣がん訴訟の解決に向け、55億ドル規模の和解案を発表した。これは、2年前に裁判所が退けた約80億ドルの提案を下回る水準だ。

一方で、AI関連株全般に調整が広がるなかでも、クレイマー氏はNVIDIAとIntelには強気の見方を維持した。両社の事業は、メモリーメーカーが享受した一時的な価格決定力ではなく、より持続的な需要に支えられているとの判断を示した。

足元の相場は、AIテーマそのものの後退というより、データセンター増設の恩恵を受ける銘柄に集中していた資金が、ソフトウェアや消費関連など他分野へ広がる過程といえる。メモリー不足を背景とした超過収益への期待が薄れるにつれ、AI関連株でも銘柄選別が一段と鮮明になりそうだ。

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