人工知能(AI)データセンター向け投資の波が、高帯域幅メモリ(HBM)に続いて企業向けSSD(eSSD)にも広がっている。AIサーバー向けの30TB〜64TB級の大容量eSSDでは需要が集中し、足元では価格が50%超上昇した。生産能力そのものよりも、出荷前の検査工程が新たな制約になりつつあり、後工程の検査装置更新が出荷量を左右する局面に入っている。
eSSD価格の上昇は、供給の伸びに限界があるためだ。TrendForceによると、Samsung ElectronicsとSK hynixは、200層超の高積層NANDフラッシュを用いるeSSDの生産ラインで稼働率を高め、需要増に対応している。
もっとも、NANDの生産量を増やすことと、完成品のeSSDを円滑に出荷することは別の課題だ。容量が大きい製品ほど、出荷前検査に要する時間が長くなるためである。
eSSDの検査工程は大きく2つに分かれる。高温環境で長時間動作させて初期不良を取り除くバーンイン検査と、実際のインタフェース速度で読み書き性能を確認する最終試験だ。容量が32TBから64TB、128TBへと拡大するほど検査範囲も広がり、1台当たりの検査時間は長くなる。
高積層NANDの普及も、検査負荷を押し上げる要因となっている。200層超のセルを垂直方向に積み上げる構造では、発熱管理や長期信頼性の確認がより重要になる。このため、バーンイン検査で確認すべき条件も増える。インタフェース速度がPCIe Gen5に上がれば、動作時の発熱も大きくなる。
検査時間を短縮するには、複数製品を同時に処理できる並列検査能力の引き上げが欠かせない。ただ、その能力は装置のチャネル数や処理帯域幅に左右される。後工程の検査装置更新が出荷能力に直結するのはこのためだ。
装置世代の違いも無視できない。NEOSEMの製品仕様によると、PCIe 4.0対応の検査装置とPCIe 5.0対応装置では、処理可能な帯域幅に差がある。Gen5以上のeSSDを既存装置で検査しようとすると、装置側の帯域が先に制約となる。
こうした事情を背景に、マルチチャネルの最終試験と高温バーンインを同時に行える新型装置への移行が進んでいる。
データセンターの更新サイクルも短期化している。McKinseyの報告書によると、AIサーバの高密度化を受け、データセンターのサーバおよびストレージの交換周期は従来の4〜5年から2〜3年へ短縮した。同じ期間内に更新が必要となるストレージの数量が増えることを意味する。
同報告書は、2030年までに世界のデータセンター投資の70%超がAIワークロード向けに集中すると見込む。これに伴い、後工程で処理すべき検査物量も増加していく見通しだ。
◆CXL 2.0で広がる新たな検査需要、焦点は「接続」検証へ
更新需要とは別に、新たな検査領域も立ち上がりつつある。Compute Express Link(CXL)は、複数サーバでメモリを共有できる接続規格で、CXL 2.0ではメモリプーリングとスイッチング機能に対応する。これにより、検査対象はメモリ単体の動作確認から、複数機器間の接続動作の検証へと広がる。
この領域は、従来のDDR5 DRAMモジュール向けテスターやSSDテスターでは確認が難しい。問われるのはメモリ単体の正常動作ではなく、複数サーバがメモリを共有する過程でエラーが発生しないかどうかであり、専用のCXLテスターが必要になる。
業界によると、半導体後工程向け検査装置メーカーのNEOSEMは、韓国のメモリメーカー向けにCXL 2.0量産用検査装置を世界初として初出荷した。PCIe 5.0ベースの高速帯域に対応するほか、メモリ共有やスイッチング時の誤動作有無の確認、バーンイン検査機能も備えるという。
需要面の裏付けも出てきた。Microsoftは、IntelのXeon 6プロセッサとAstera Labsのコントローラを組み合わせ、Azureで商用CXLメモリの導入を開始したと伝えられる。AI推論および検索拡張生成(RAG)ワークロードで、総所有コスト(TCO)を15〜20%削減したとされる。
CXLは検証段階を超え、実際のコスト削減手段として使われ始めた格好だ。計測機器分野では、Anritsuが6月にCXL 2.0およびCXL 3.x対応の高速インタフェース評価装置を投入した。
韓国の材料・部材・装置メーカーにとっては、需要が二方向で同時に広がる局面といえる。老朽化した装置の更新はすでに進行中の案件であり、CXL専用ラインは新たに形成される市場だからだ。
短期的には、PCIe 5.0移行に伴う既存装置の更新が焦点となる。中期的には、CXL 3.0につながる次世代テスターの先行獲得競争が競争軸として浮上する。業界関係者は「検査装置の発注はメモリメーカーのライン増設日程と連動し、ハイパースケーラーの投資執行日程にも左右される。CXL 2.0の商用導入の流れが重要になる」と話した。