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米企業の間で、AIを理由に抑えてきた採用を見直す動きが広がっている。景気の先行き不透明感や、AIがより多くの業務を担えるとの期待を背景に人員増に慎重だった企業が、足元では再び採用に動き始めた。伝統的大企業に加え、ビッグテックでも増員の方針が打ち出されている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、鉄道大手CSXやGoogle親会社のAlphabetは最近、投資家に対し、成長目標の実現や新技術分野での機会獲得に向けて採用を拡大する計画を示した。

企業幹部の一部は、AI導入に伴うコスト負担や技術的な限界が明らかになり、AIだけでは補えない人員を確保する必要が出てきたと説明している。過去に削減した人材の呼び戻しを検討する企業もあるという。

連邦政府や国防・情報機関向け事業を手がける経営・ITコンサルティング会社Booz Allen Hamiltonの最高執行責任者(COO)、クリスティン・マーティン・アンダーソン氏は、「人員補充のペースをさらに引き上げる必要がある」と述べた。

WSJによると、Booz Allen Hamiltonは、トランプ政権が連邦政府契約を大幅に縮小し、企業側にコストの正当性に関する説明を求めたことを受け、昨年は数千人規模の人員削減を実施した。6月30日時点の従業員数は3万900人で、前年同期比7.5%減だった。

これまで米大企業では、人員削減が成長加速につながるとの見方が広がり、多くの上場企業がホワイトカラー職を削ってきた。ただ、足元では解雇の動きは弱まっている。

WSJは連邦政府のデータを引用し、直近数週間の米国における失業給付の支給は、1969年以降で最も低い水準にあると報じた。

採用が小幅ながら増加に転じた背景には、AIで置き換えられる業務の範囲を巡る企業の見方の変化もある。

多くの企業は、AIエージェントで代替できるとの期待から新卒採用を絞ってきた。だが実際には、AIだけで完結できる業務は限られ、AIと協働できる人材が不可欠だとの認識が広がっていると、WSJは伝えた。

HRプラットフォームを手がけるLatticeの最高経営責任者(CEO)、サラ・フランクリン氏は、「コーディングエージェントがあるからといって、エンジニアを採用しなくていいということにはならない。AIの営業エージェントを導入している企業でも、営業人材は引き続き必要だ」と語った。

同氏によると、Latticeの顧客企業の多くが採用再開に動く見通しだ。AIの普及で存在感が薄れたとみられていたジュニア層の採用を増やす方針が目立つという。

フランクリン氏は「新卒人材への需要は非常に大きい」とした上で、「企業は、AIをうまく使いこなせる人材が必要だと気づき始めている。創造性があり、既存の発想にとらわれない新卒人材が求められている。人件費も比較的抑えやすい」と述べた。

採用増の動きはホワイトカラー以外にも広がっている。工具メーカーのSnap-onは事業拡大に向けて従業員を増やす計画で、CSXも需要増に対応するため、今後数カ月で列車運行や機関車整備に関わる要員を段階的に増やす方針だ。

一方でCSXは、社内の他部門については退職や転職による自然減を技術で補う考えで、従業員数は引き続き前年を下回っている。

採用を増やす企業は増えているものの、急拡大に踏み切る例はまだ多くない。ただ、特定職種では人材需要がなお強い。

Alphabetの最高財務責任者(CFO)、アナット・アシュケナジ氏は、「AlphabetはAIやクラウドコンピューティングといった中核投資分野で採用を継続する」と述べた。

WSJによると、ソフトウェア企業のServiceNowは、サイバーセキュリティーなど成長分野での事業機会を取り込むため、顧客と直接接するフィールドセールス人材の採用を増やしたい考えだ。

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