Teslaのイーロン・マスク氏は、電動トラック「Semi」の自動運転について、2026年末から2027年初めに実現する可能性があるとの見方を示した。一方で、開発の優先順位は当面、Model 3やModel Y、Cybercabといった量産車・ロボタクシー向けが上回ると説明した。
米EVメディアのElectrekによると、米投資会社LightShed Partnersのアナリスト、ウォルター・パイシク氏がSemiの自動運転の時期を質問し、マスク氏が7月22日のTeslaの2026年第2四半期決算説明会でこれに答えた。
マスク氏はまず、米国の物流業界でドライバー不足が続いていると指摘した。「米国全土の輸送を支えるトラックを運転したいと考える人が十分にいない」と述べた。
そのうえで、Semiへの自動運転機能の搭載について、「安全性と利便性を大きく高められる」と説明した。
ただ、TeslaはSemiの自動運転を直ちに最優先課題とは位置付けていない。マスク氏は、自動運転開発の重点をModel 3、Model Y、Cybercabのような量産車に置いているとし、Semiについては「今後6カ月ほどはやや後回しになる」と述べた。
実現時期には触れたものの、実際の開発リソースは乗用車とロボタクシー向けに優先配分していることをうかがわせる内容だ。
Semiは、発表当初から自動運転とあわせて語られてきた車種でもある。Teslaは2017年11月の公開時、「エンハンスト・オートパイロット」に加え、複数のトラックが高速道路で自律的に追従する隊列走行のデモも打ち出していた。
当時は2019年の量産開始を見込んでいたが、その後は2020年、2021年、2022年へとたびたび延期された。
2022年末にPepsiCoへ一部車両を引き渡した際も、Teslaはオートパイロットや自動運転については特段言及しなかった。かつて公式サイトに掲載していた隊列走行関連の説明も削除されている。
その後、2026年4月にはギガファクトリー・ネバダの量産ラインから初のSemiが出荷された。同工場は年産5万台の生産能力を備える設計となっている。
ただTeslaは今週、投資家向けに、2026年末時点でもSemiが車両全体に占める比率は「非常に小さい」との見通しを示した。
市場がSemiの自動運転スケジュールを慎重にみている背景には、Teslaがこれまでも類似の時期感を繰り返し示してきた経緯がある。
マスク氏は今回の説明会で、Semiの自動運転は「年末または来年初めごろ」に可能になると述べた。だがTeslaはこれまで、完全自動運転やロボタクシーを巡る複数の計画を期限通りに実現できていない。
2016年にはTesla車がロサンゼルスからニューヨークまで自走すると説明し、2019年末には完全自動運転機能が事実上完成するとしていたが、いずれも実現していない。2020年には、翌年にレベル5自動運転を解決するとして「100%確信している」と語ったこともある。
現在Teslaが掲げる主要な自動運転目標は、2026年第4四半期に顧客車両で監督なしの完全自動運転を実現することだ。Teslaはテキサス州のロボタクシーサービスでも関連試験を継続している。
一方、Semiは車両規模や運行環境の特性上、乗用車以上の信頼性と運行範囲の確保が求められる。このため、今後は発表時期そのものより、量産体制の立ち上がりと開発の優先順位が実用化を左右する要素になりそうだ。