中国のDRAMメーカーChangXin Memory Technologies(CXMT)が、2028年末までに世界DRAM市場で18%のシェアを獲得する可能性があるとの見方が出ている。上場後の株価急伸で市場の注目を集める一方、今後の焦点は増産の実現性とAI向け高帯域幅メモリー(HBM)の商用化に移りつつある。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの27日付報道によると、NomuraはCXMTの目標株価を116元と設定し、27日終値に対して株価が2倍超上昇する余地があるとみている。
市場の関心は株価の上昇だけではない。中国本土最大のDRAMメーカーであるCXMTは、上場後に株価が466%上昇し、終値は49元となった。時価総額は3兆2800億元に膨らみ、約4846億ドルと、約4640億ドルのIntelを上回る水準となった。
最大の注目点は生産能力の拡大だ。Nomuraは、CXMTの世界DRAMシェアが現在の約10%から2028年末には約18%まで上昇すると試算した。前提となるのはウエハー投入の拡大で、合肥と北京の工場における月間12インチウエハー生産能力は、2025年末の28万枚から2026年末に35万枚、2028年末には55万枚へ拡大する見通しだ。上海での新ライン追加も織り込んでいる。
需要面も追い風となっている。AI向け計算需要の拡大を背景に、DRAM在庫は異例の低水準にとどまっている。CitiはDRAM供給各社の在庫を約2.7週分と推計した。通常水準とされる5週超を大きく下回る。
中国の内需市場もCXMTにとって大きな機会とみられている。中国は2025年に世界のDRAM需要の約4分の1を占めた一方、国内生産で賄えるのは自国需要の約30%にとどまると推計された。輸入依存の高さを示す数字だ。実際、Bank of Americaは、中国の6月のメモリーチップ輸入額が320億ドル(約4兆8000億円)となり、前年同月比で250%増えたと公表した。中国本土の機器メーカーやクラウド企業は、高級品と汎用品の双方で韓国サプライヤーへの依存を続けている。
もっとも、成長シナリオの実現には課題も多い。最大の弱点はHBMだ。HBMはAIプロセッサと組み合わせて使われる高付加価値DRAMだが、CXMTは現時点でこの分野の売上を持たない。売上の大半はスマートフォンやPC向けの汎用DRAMに依存している。HBMを開発し、市場投入可能な水準で商用化できるかが、Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyとの差を縮める試金石となる。
Nomuraは、CXMTの主力生産技術が海外の先行DRAMメーカーに比べて約5年遅れていると推定した。その一方で、2027年からHBM3の量産能力を確保できる可能性があるともみている。ただし、顧客認定には時間を要する恐れがあると付け加えた。生産能力を拡大するだけでは市場での地位向上にはつながらず、高性能製品で実際に受注を獲得できるかが重要だという。
装置・材料の調達も重荷となる。Nomuraは、CXMTの半導体製造装置の約40%が中国製と推計した。残る相当部分は対外規制の影響を受ける可能性があることを意味する。とりわけ先端露光装置やフォトレジストの分野で、米国主導の輸出規制が一段と強化されれば、生産の高度化に制約が生じる可能性がある。
CXMTの次の成長局面では、汎用DRAMの増産でシェアを広げるだけでなく、HBMの量産体制を整え、顧客認定を通過できるかが焦点となる。加えて、先端装置や材料への安定的なアクセスを確保できるかどうかも、世界メモリー市場で存在感をさらに高める上での重要な変数となりそうだ。